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●Xperia XZ2 Premiumのカメラ性能を実写で検証

ソニーモバイルコミニュケーションズの高性能スマートフォン「Xperia XZ2 Premium」は、シリーズで初めてカラーとモノクロの2つのセンサーを搭載したデュアルカメラの採用が大きな特徴です。特に、デュアルカメラは高感度撮影時の画質を追及するために多くの工夫を凝らしています。果たしてどれだけの高感度性能を持っているのかを中心に、Xperia XZ2 Premiumの実機でレビューしました。

○大型ボディに4K HDRディスプレイを搭載

Xperia XZ2 Premiumは、本体サイズがW80×H158×D11.9mm、約234gと、ボディはやや大ぶり。背面がなだらかな山型になっているのは、持ったときに手にフィットするようなデザインを目指したのでしょう。

ディスプレイは5.8インチで、トリルミナスディスプレイ for mobile液晶を採用しています。解像度は4K(3840×2160ドット)で、HDRにも対応。18:9比率のワイドパネルやノッチ付きといった最近流行りの仕様ではないので、ディスプレイの上下には太めのベゼルがあります。

SoCはSnapdragon 845、メモリーは6GB、内部ストレージは64GB、外部ストレージは最大400GBのmicroSDカードに対応しています。防水防塵、おサイフケータイ、フルセグ・ワンセグといった日本的な機能はもちろん、最新のiPhoneやGalaxyと同様にQi準拠のワイヤレス充電にも対応しています。

背面には指紋センサーを搭載し、その上には2つのカメラが並んでいます。指紋センサーは反応も素早いのですが、使ってみると背面のほぼ中央にある設置場所がいささか微妙に感じました。手に持った際、人差し指が自然にかかるのはちょうどカメラの位置であり、指紋センサーの部分にはとっさに指先が来ないのです。そのため、通常のスマートフォンのように持つと、指紋認証の際は指がちょっと苦しい感じになります。

同社の担当者によると、指紋センサーはカメラ側の仕様でこの位置になったわけではないといい、ほかのデバイスの配置や排熱など、デバイスの設計としてこの位置に置くしかなかったのかもしれません。ともあれ、この指紋センサーの位置はちょっと慣れと工夫が必要と感じました。

ディスプレイは、さすがに高解像度で明るく見栄えのする表示です。今回はきちんと検証していませんが、4K HDR対応ディスプレイを採用したスマートフォンとして、映像表示に威力を発揮しそうです。

●超高感度で暗闇でも明るく撮れるデュアルカメラ

肝心のカメラは、縦にレンズが2つ並ぶデザインで、上部がモノクロセンサー、下部がカラーセンサーとなっています。モノクロセンサーは、有効約1220万画素の1/2.3型Exmor RS for mobileを採用。カラーセンサーは、有効約1920万画素1/2.3型Exmor RS for mobileを採用しています。レンズのF値は、それぞれF1.6とF1.8です。

今回のデュアルカメラは、先日掲載した「“ワンソニー”で開発、Xperia XZ2 Premiumのデュアルカメラに迫る」で紹介した通り、高感度撮影機能の向上を狙って開発されたものだとしています。そのため、デュアルセンサーが動作するのは高感度撮影時に限られ、明るい場所の低感度撮影時はデュアルカメラを使っても意味がないそうです。HUAWEI Pシリーズのように、ダイナミックレンジや解像感を向上させるためには使われないわけです。

マニュアルモードでデュアルカメラを強制的にオンにして撮影すると、低感度時もモノクロカメラを使って画像合成を行っているようですが、画質の変化はほとんど感じられませんでした。低感度時に手動でわざわざデュアルカメラをオンにする必要はなさそうです。

実際の高感度撮影は、静止画でISO51200、動画ではISO12800まで増感します。ここまでの高感度になると、少々の明るさしかない状況でもかなり明るく撮影できます。とはいえ、かなりノイジーな画像になるので、常用するのは難しいでしょう。

最高感度までになると、花火や月のような「明るい」被写体に使うには高感度すぎます。その明かりに照らされた被写体を撮る、といった感じで使うとよさそうです。手持ちの線香花火の光で人を撮る、というのもよさそうです。赤外線カメラレベルとはいいませんが、星を撮影するとか、暗闇で眠る子どもの寝顔を撮るとか、限られたシーンで使えるでしょう。それでも、今までは決して撮れなかった暗いシーンで撮影できるのは面白いものです。

高感度撮影性能を底上げしているデュアルカメラですが、シングルカメラでも全体的に画質は向上しているということです。実写した印象では、ISO800までは普通に使える画質で、ISO1600も悪くないレベルといえます。さすがにISO6400以上は厳しくなるので、より低ノイズで撮れるデュアルカメラに頼るほうがよいでしょう。

○近接撮影時に発生する色ズレには要注意

ただ、Xperia XZ2 Premiumのデュアルカメラにも欠点が存在します。近接撮影には向いていないという点です。2つのカメラの画像を合成する関係上、近い距離だと被写体の合成がうまくいかないからです。実際、近くの被写体を撮ろうとすると、不自然な色ズレが起きてしまいました。

画面上には「被写体から離れて」という旨の警告が表示されます。推奨は1m以上とのことですが、テストした限りは1m以上離れていても警告が表示されることもありました。画面上で色ズレが確認できなければそのまま撮影して問題ないですし、警告があっても撮影自体はできますので、多少色ズレしても構わなければそのまま撮ってもよいでしょう。

●4K動画はHDRと超高感度への対応に注目

動画に関しては、4K HDR撮影に対応した点と、デュアルカメラによる高感度撮影が可能な点がトピックといえます。4K HDRに関しては、新たにフォーマットとしてHEVCに対応しました。iPhoneではiOS 11からサポートし、より効率の高いフォーマットとされています。

HEVC自体は、iPhone以外にもAndroidも対応し、MacやWindows 10も最新バージョンで対応していますが、Windowsでは対応ソフトウェアが少ないところが難点です。YouTubeであればアップロードもライブストリーミングも可能とのことなので、一般的な用途ではそれほど困らないでしょう。HEVC 10bit HLG BT.2020で階調や色域も向上していますし、4KだけでなくフルHDでもHDR撮影に対応しているのも嬉しいところです。

HDRは、明暗差の激しい被写体で白トビや黒ツブレを抑えた映像が撮影でき、人間の目に近い表現が可能です。基本的に、HDRはオンにして撮影するといいでしょう。ただし、電子式手ブレ補正のインテリジェントアクティブモードが使えないといったデメリットもあるので、シーンに応じて使い分けるとよさそうです。

4K HDRをオフにして撮影した動画

こちらは4K HDRをオンにして撮影した動画。明るすぎず暗すぎず、より適切な映像になっています

動画の高感度撮影は、静止画よりは低感度とはいえ、ISO12800まで増感できます。ISO感度を任意に設定することはできないので、暗所では自動的に感度が上がります。そのため、デュアルカメラの設定も「オフ」か「オート」化しか選べません。また、4Kでの撮影もできないようです。

デュアルカメラの設定を「オフ」にして撮影した動画。周囲の様子は真っ暗でほとんど分かりません

デュアルカメラの設定を「オート」にして撮影した動画。オートだとデュアルカメラでの撮影になったようで、何となく周囲の状況が分かるようになっています

効果は確かに高く、暗闇でもずいぶん明るく見えるようになります。画質はそれなりに劣化しますが、やはりシングルカメラでの撮影に比べれば画質は向上しており、かつ明るく撮影できます。

真っ暗闇でも写せるというほどではなく、そもそもピントがきちんと合わないので、過剰な期待はしないほうがいいでしょう。それでも、今まで撮れなかったような「小さい電灯での室内」「暗めのバー」あたりであれば、十分な明るさと画質で撮影できます。

今まであきらめていたような暗い夜景なども撮影できるのが、Xperia XZ2 Premiumのデュアルカメラがもたらす高感度のメリットです。もちろん、HUAWEI P20 Proのように連写合成による手持ち夜景というやり方も、一つの手法でしょう。ソニーは、もともとデジタルカメラで連写合成による手持ち合成を実現しており、Xperiaでも同様の機能を搭載してほしいところです。しかし、デュアルカメラによる高感度対応は、画質面でもスマートフォンカメラとしてはレベルが高く、便利に使える機能に仕上がっています。

○自由作例でカメラ機能の実力をチェック

最後に、Xperia XZ2 Premiumで撮影した写真をご紹介しましょう。低感度では精細に被写体を収められることが分かります。

Xperia XZ2 Premiumは、スマートフォンとしては大きく重いため、なかなか万人にすすめられる製品とはいいづらいのは確かです。しかし、4K HDRディスプレイを生かした映像表示や、デュアルカメラを活用した高感度対応カメラなど、「一芸に秀でた」スマートフォンとして面白い存在といえそうです。