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もくじ

ー 新たに12の装備を義務付け
ー 商用車向けは別の規制も
ー 交通安全団体の意見

新たに12の装備を義務付け

欧州における交通死亡事故を減らすため、2021年以降に発売されるクルマに対し12の新たな安全基準が設けられた。

現在、EU全体での事故死者数は年間2万6000人程度だ。これを2030年までに半分の1万3000人まで減らすという目標が掲げられている。

2010年以降、欧州の道路における死亡率は20%程度減少した。しかし、欧州委員会によれば2013年以降特段の減少が見られていないという。この新規制は1万500人の命を救い、重傷者も5万9600人減らすことができると予想されている。

新たに義務付けられた内容は以下の通りだ。安全基準の改定は2009年以来のこととなる。これらの装備はすでに多くのクルマに装備されているか、オプションとして用意されているものだ。

新たに追加された項目

・アドバンスド・エマージェンシー・ブレーキ
・アルコール検知機能
・居眠り運転検知機能
・注意散漫状態検知機能
・ドライブレコーダー
・緊急停止シグナル
・前面衝突時の乗員保護の強化およびシートベルトの改善
・歩行者頭部保護ゾーンの拡大および安全ガラス
・インテリジェント・スピード・アシスト
・レーンキーピングアシスト
・側面衝突時の乗員保護
・後方カメラまたはセンサー

商用車向けは別の規制も

商用車向けには他の機能の義務付けも検討されている。乗用車にはすでに義務付けられているものもあれば、全く関係のないものも含まれる。

自動緊急ブレーキやレーンキーピングアシストはすでにユーロNCAPで5つ星を獲得するために必要な装備だ。このルールは2018年に導入された。当初は2017年の予定だったが、業界からの難しいとの声に対応し1年間後ろ倒しされた。これらの機能が付いていないクルマを販売することは違法ではないが、保険業界はこの機能が追突事故を抑制すると考えている。

もうひとつの注目機能は、インテリジェント・スピード・アシストだ。これは制限速度を自動的に認識して速度を調節するものだ。この機能はすでに多くの車両に搭載されている。これが義務化された場合、オフにした際の保険料に影響するかもしれない。

アルコール検知機能の追加はさらに極端だ。アルコールを検知した場合、そのドライバーが運転することはできなくなる。いくつかのEU加盟国では酒気検知器の携帯を義務付けているが、それを無効化する機器も販売されている。

交通安全団体の意見

今回のEUの決定は交通安全団体から称賛を受けている。以下で紹介しよう。

ジョシュア・ハリス(交通安全チャリティー広報)

「これらのテクノロジーが死亡事故を減らすことは証明済みです。したがって、今回の発表は交通安全の向上を望むなら暖かく迎え入れるべきです」

「ドライバーは自分のクルマが安全であってほしいと考えています。その一方で、オプション設定された安全装備にお金を使う人は少ないのが現実です。これらが標準装備されることによって、道路の安全性が恒久的に向上するでしょう」

ジェシカ・トロン(Towards Zero Foundation理事長)

「国連交通安全のための行動10年や交通事故死者数半減運動が2020年に終わりを迎えます。これに合わせ、今後10年間に向けた計画を策定するのは良いことです」

「今こそがひとびとを予測可能かつ阻止可能な交通事故から救うための努力を倍増させるときです。2030年を見据えたEUの決定は欧州社会の安全に向けた第一歩となるでしょう」