© 2016 Celtic Soul, Markham Street Films

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中村俊輔が所属したことで日本でも一気に知名度が上がったスコットランドの名門クラブ、セルティックを取り上げた映画「セルティックソウル」(原題:Celtic Soul)には、2度裏切られる。

始まって1分7秒を見た限りでは、1時間23分の間、セルティックへの絶賛が続くのかと思わされる。ところが一転、1970年ワールドカップの映画「The World At Their Feet」の流れも感じられるようなロードムービー風となり、最後はすべてを吹き飛ばすようなシーンがやってきた。

このドキュメンタリーの主人公はジェイ・バルチェル。「あの頃ペニー・レインと」「ミリオンダラー・ベイビー」「ヒックとドラゴン」などのハリウッド映画に出演している、アイルランド人の母を持つセルティックファンだ。

ともに旅立つのは、カナダのサッカー番組の司会を務めていたオーエン・オキャラハンで、両親はアイルランドに住んでいる。ツイッターで知り合ったふたりは、アイルランドに渡ってバルチェルのルーツを探りつつ、最後はスコットランドでセルティックの試合を生観戦するという旅に出た。

ストレートではないサッカー映画だが、最後まで見るとサッカー、セルティックがすべての話をまとめている。2人のお上品ではない英語や、最後に主人公ふたりが観戦している場所がゴール裏などという細部も楽しめることだろう。

「テーブルの上にパンはなくとも、セルティックはあった」。街の人がさらりとそんなことを言うようなクラブに、日本人選手が所属していたという重みが、クスリと笑わせられるエンドロールの後に思い出されるかもしれない。

【日本蹴球合同会社/森雅史】

「セルティック ソウル」監督マイケル・マクナマラ(2016年・カナダ)
2月12日(休)15:55〜 ヨコハマ・フットボール映画祭 他
(横浜市 開港記念会館 〒231-0005 横浜市中区本町1丁目6番地1)