握手会でも親しく話す間柄だった

 年内にAKB48を卒業する渡辺麻友さんが10月31日、埼玉・さいたまスーパーアリーナで卒業コンサートを開催。約1万7000人を前に11年間に及ぶアイドル人生の集大成を披露し、終演後は自身のツイッターに「ほんっとうに幸せな時間でした。この日を一生忘れる事はありません。全ての皆様へ、心からの感謝の気持ちを込めて…11年間、本当に本当にありがとうございました!」と思いをつづりました。

 その渡辺さんの大ファンだった23歳女性の「死」がSNS上で話題となっています。彼女のツイッターによると、生前は「幼稚園の先生」をしており、渡辺さんがAKB48に加入した時からのファン。握手会に毎回参加し、渡辺さん本人から親しく話しかけられる間柄だったようです。

 しかし、彼女は「がん」と思しき病気で今年7月ごろ入院。病床から「最後の外出許可は、やっぱり…まゆゆの卒業コンサート見たい」「ただ…まゆゆの卒業していく姿だけは見たい…私の体力が持つかな…」「私の最後の夢は、まゆゆの卒業していく姿を見ること…私の大切な心の支えだから」などとツイートし続けましたが、10月18日に不調を訴えたのを最後に、コンサートを目にすることなく亡くなりました。

 投稿を引き継いだ母親によると、10月20日午前6時7分に死去。母親は「自宅の娘の部屋は渡辺麻友さんのカレンダーやグッズなどでいつもいっぱいでした。本当に好きなんだと娘の友人と共に呆れるくらいでした。私はアイドルのことは分かりませんが娘の意思を引き継いで渡辺麻友さんを遺された家族で応援していきたいです」とつづりました。

 そして、10月31日のコンサート当日、会場に彼女への哀悼の意を込めた「特別席」が設けられたことがSNS上で話題に。席は運営サイドで用意したらしく、渡辺さんのサイン入りCDなどが置かれたことを受け、「良かったね。素晴らしい事だ」「きっと今素敵な笑顔でステージを眺めてるよね」「運営の方々、ありがとうございました」などの声が上がりました。

 この“神対応”について、アイドル取材経験豊富なライター、フォトグラファーの志和浩司さんは次のように話します。

AKB48の、ファンへの手厚い対応は初期から知られています。『ライダー』という曲がありますが、これはいつもバイクで劇場に来ていた熱心なファンのために作られました。彼はある日、劇場のフロアで倒れ、その後32歳の若さで亡くなったのですが、9年たった劇場オープン10年祭でも彼のために最前列の1席が空席となりました。今回も、まじめで熱心なファンの応援に報いたいというAKB48の姿勢からと思われますが、渡辺麻友さんもまた、秋元康さんが名前を挙げるほどの『まじめ』です。応援する側とされる側、互いの純粋な思いが今回の神対応を生んだと言えるでしょう」

(オトナンサー編集部)