タイヤの空気が少しずつ抜けていくトラブル

 スローパンクチャーとは、タイヤの空気圧がゆっくりと抜けていくこと。F1などのレース中継を見ている人ならとときどき耳にすることがあるだろう。普通のパンクと違って一気に空気が抜けるのではなく、少しずつ抜けていくので、TPMS(タイヤ空気圧モニタリングシステム)でもついていないと気がつきにくい。

 そのまま放置しておくと知らないうちに空気圧が低くなり、トレッドに近いサイドウォール部分に局部的なひずみが生じ、やがてタイヤの温度上昇を伴い、コードが円周状に切断されて、最悪、ゴム部が帯状に剥離したようにバーストすることも……。

 原因はエアバルブのムシ(バルブコア)の寿命、不良だったり、タイヤの組み付け上の問題(ビートが上がりきっていないなど)だったり、釘よりももっと細い異物が刺さっていたり、と色々あり、普通のパンクより原因特定が難しいので厄介だ。

 タイヤの空気圧は、とくにトラブルがなくても1カ月で10〜20kPaは自然に低下するが、これより明らかに早いペースで空気圧が下がるようなら、スローパンクチャーを疑おう(空気圧は気温の影響も大きく、気温が10℃高くなるとタイヤの空気圧は10kPa上昇し、気温が10℃下がると空気圧も10kPa下がる)。

 基本的にスローパンクチャーは、見た目ではなかなか判断できない。とくに超扁平タイヤだと、空気圧が50%以上減っていても外観上は気がつかないということも……。こうしたスローパンクチャーを放置しないためにも、やはり、月1度の空気圧(+タイヤの傷)の点検は、ドライバーの必須といえよう。

 定期的な空気圧の点検でスローパンクチャーに気付いたら、そのタイヤタイヤ専門店に持ち込もう。上記のとおりスローパンクチャーの原因究明は容易ではないので、ガソリンスタンド、ディーラー、量販店に行くより、専門のタイヤ整備士に診断してもらう方がオススメだ。

 点検の結果、異物などが刺さっていたとなるとパンク修理が必要だが、パンク修理は応急修理的な「外面修理」(一般的にはこちらが主流)ではなく、「裏張り」(「内面修理」)のほうが安心。いずれにせよ、スローパンクチャーの点検修理は、腕の立つタイヤ職人にお任せしよう。