千鳥饅頭総本舗の「チロリアン」は、伝統のレシピで焼き上げた巻きせんべいに、自家製クリームを詰めた懐かしの味

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九州のロングセラー商品の秘密にせまる「メインド・イン・九州」。今回は、千鳥饅頭総本舗の「チロリアン」をピックアップ!

【写真を見る】定番の味に加えて、近年、人気を博しているのが「ご当地シリーズ」。写真は、あまおう(福岡)の味

■ チロリアン(13本入り540円)

1630年創業、 千鳥饅頭総本舗の名物「チロリアン」は、伝統のレシピで焼き上げた巻きせんべいに、自家製クリームを詰めた懐かしの味。博多のなまりで、「千鳥屋」は“チロリヤ”と呼ばれ親しまれたことと、“チロル”地方にちなんで名付けられた。

■ CMと共に世に浸透した定番おやつ

「チロ〜リア〜ン♪」。発売から半世紀以上も愛され続け、きっと、だれもが一度は口にしたことがあるであろう洋風のお菓子。先代の原田光博が、京都の職人が手巻きでせんべいを作るのを見た際に、オーストリア留学時代に慣れ親しんだワッフル生地にクリームを詰めたチロル地方の伝統菓子からヒントを得て考案した。発売当初は、1本、1本、職人が手巻きして焼いていたというから驚きだ。サックサクのせんべいと、優しいクリームの絶妙なハーモニー。和と洋のコラボは、当時としては非常に画期的であったが、クチコミで徐々にファンを増やしていく。1つの転機となったのが、1980年に初めて流された、あのCM。一度、耳にしたら忘れない独特な響きで、一気に全国へと浸透していくことになる。現在は、機械を導入し、年間約1500万本もの生産数を誇るようになったが、生地の調合だけは、熟練の職人の経験に任されているという。時代のニーズに合わせて改良を加えながらも、伝統の味を守り、引き継いでいく真摯な姿勢。モノ作りへの深く、強い愛情をひしひしと感じた。

■ ヒットの裏側

定番の味に加えて、近年、人気を博しているのが「ご当地シリーズ」。傷があるなどの規格外のあまおう(福岡)や、マンゴー(宮崎)を使用し、「もったいない」という農家の悩みに応えた商品だ。伝統を守りつつも、時代のニーズに合わせた商品作りが成功のキーとなっている。

【九州ウォーカー編集部】