今季2勝目を挙げた、レンジャーズ・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

写真拡大

手術後最長の8回113球を2失点で2勝目、チーム内から称賛の声続々「さらに良くなる」

 レンジャーズダルビッシュ有投手は23日(日本時間24日)、本拠地でのロイヤルズ戦で今季5度目の先発マウンドに上がり、8回113球を投げて5安打2失点8奪三振1四球の快投で2勝目(2敗)を挙げた。3回に2者連続ソロ本塁打を浴びて先制を許したが、その後は危なげない投球。7回終了時で99球ながら、8回も続投した。右肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から復帰後最長となる8イニング&113球を投げきったエース右腕について、チーム内では絶賛の嵐が巻き起こった。

 圧巻だった。7回、2死からモスを大きく変化するカーブで空振り三振に仕留め、この試合3度目の3者凡退としたダルビッシュ。ダグ・ブロイケル投手コーチに意思を確認され、“志願”の続投で8回もマウンドに上がると、最後はムスタカスを97マイル(約156キロ)の直球で二ゴロに打ち取った。昨年5月に右肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)から復帰後、最長&最多の8回113球を投げたが、最後まで球威は衰えなかった。

 地元紙「スターテレグラム」によると、今季2試合目のコンビとなった捕手のチリノスは「彼のチェンジアップは信じられないほど素晴らしかった。彼が今日したことすべては並外れていた…彼はさらに良くなっていくと思うよ」と絶賛。ダルビッシュは今季、チリノスが捕手の時は15イニングで2失点と相性がいい。エース右腕の良さを引き出した女房役は「彼がサイ・ヤングだと言うつもりはない。でも、サイ・ヤング賞を獲得する可能性はある。素晴らしいゲームだった」とさらなる躍進を予想したという。

「彼は最高の右腕のひとり」「サイ・ヤング賞の可能性がある」

 MLB公式サイトでは首脳陣のコメントを紹介。8回も続投させたブロイケル投手コーチは「今日、彼は驚異的だった」と称えた上で、「いかなる疲れの兆候もなかった。我々は彼が毎登板、100球以上投げられることを理解している」と言及したという。トミー・ジョン手術から復帰後、すでに“完全復活”の状態にあると認めている。

 そして、今季はダルビッシュをエースとして開幕投手に指名したジェフ・バニスター監督も、手放しで褒め称えたと記事では伝えている。「彼は非常にシャープだった。試合が進むにつれて、強力になっていったように思う。スライダーやチェンジアップも良かった。しかし、ゲームが進むと、球速が増していったんだ。彼はある時点で、97マイル(約156キロ)に達していた。8回まで踏ん張り、95マイル(約153キロ)のファストボールを投げることができていた」。後半になるほど、むしろ力強さを増していったダルビッシュの快投劇に確かな手応えを得たようだ。

 さらに、地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」によると、ブロイケル投手コーチは「恐らく、彼は最高の右腕のひとりだ。彼の4球種は非常に素晴らしい。彼に内外、上下に投げ分けられると、幸運を祈るしかない。これがユウ・ダルビッシュだ。彼はユウ・ダルビッシュのような投球をしたと思う」ともいう絶賛コメントも残したという。同紙は「ユウ・ダルビッシュが先発で復調し、レンジャーズのダグ・ブロイケル投手コーチは興奮。彼はサイ・ヤング賞の可能性がある」とのタイトルで、女房役のチリノス同様に投手最高の栄誉に輝く力があると言及している。

 開幕前からサイ・ヤング賞の有力候補に挙げられていたダルビッシュ。まだシーズンは長いが、今季5試合目の登板でその圧倒的な力をあらためて証明した。