■主力車種のCX-5は、なぜ僅か5年でフルモデルチェンジなのか?

初代CX-5が、スカイアクティブテクノロジーをフルに搭載した「新世代商品群」の第1弾として国内デビューしたのが2012年2月。それから僅か5年で初代CX-5は、マツダのグローバル販売の約25%を占める主力車種に成長してきました。

しかも未だにグローバル市場での人気は衰えていないのに、CX-5はあえて5年の短期間でフルモデルチェンジを敢行しました。世界的にモデルサイクルが長期間化する傾向がある中で、マツダと新型CX-5の大胆な新車戦略には興味を抱かずにはいられません。そもそもCX-5は、なぜ僅か5年でフルモデルチェンジをするのでしょうか?

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新型CX-5開発責任者の児玉主査は、次の3つの理由を挙げています。

1つ目は「グローバルでのSUV市場の拡大と変化が顕著であること」。これには立ち止まっていたらすぐにひっくり返されるというマツダの「強い危機感」を感じます。

2つ目は「最新の技術とデザインを一刻も早く提供するのが経営方針であること」で、顧客第一の「ゆるぎない使命感」を表しています。

3つ目は「初代CX-5ユーザーにもう一度選んでもらいたいこと」で、そこには良いクルマに仕上げたという「確かな自信」が見て取れます。

児玉主査のコメントに、最近のマツダが発揮している推進力の源泉を見つけたように感じた次第です。

■開発コンセプトはすべての領域を”1クラス上にする

これらを裏付けるのが、新型CX-5の「すべての領域を”1クラス上にする”」というコンセプトでしょう。しかしながら次世代のプラットフォームを採用するならともかく、今回のように基本的なメカニズムを踏襲する条件では、かなりの難題のはず。児玉主査の自身、「従来の個別開発なら、胃に穴があいたかも?」と吐露しています。

長年マツダは「人馬一体」のドライビングを突き詰めようと、切磋琢磨を積み重ねてきました。更に初代CX-5から始まった「新世代商品群」以降、マツダは個々の技術が最初から全車種に適用できるように開発する「一括企画」を推進しています。

そのため技術陣が「担当する部品が良いだけでなく、クルマとしてどうなのか」を深く考えるようになったとのこと。つまり部分最適と全体最適の両方の意識が、マツダの文化として定着し、開発の原動力になっているのですネ。

ただ「言うは易し、行うは難し」で、良いとわかっていてもそうはいかないのが人の常ですが、本部長以上が全員参加した試乗会では「みんなが同じ方向を向いて仕事したことが、クルマに乗っていて分かる」と複数の分野の人から評価されたとのこと。

このエピソードを聞くだけでも、マツダの一枚岩振りと新型CX-5の良いクルマ感がビンビン伝わってくるようです。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

第547弾CX-5のすべて(より深く知りたい方はこちらがオススメ)
http://3a.as-books.jp/books/info.php?no=NMS20170214

主力車種に成長した初代CX-5が、僅か5年でフルモデルチェンジした理由とは?(http://clicccar.com/2017/03/20/455905/)