11月10日のアルゼンチン戦で先制のゴラッソを叩き込んだコウチーニョ(左)。ネイマール(中央)とも息のあったプレーを見せていただけに、バルサが獲得に成功すれば即戦力として活躍が期待できそうだ。(C)Getty Images

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 11月10日に開催されたロシア・ワールドカップ予選のアルゼンチン戦で、得意のカットインから豪快なミドルシュートを突き刺し、セレソンの快勝(3-0)に大きく貢献したフィリッペ・コウチーニョ。大舞台で披露したセンセーショナルなパフォーマンスに、世界中から称賛の声が寄せられている。

 そしてスペインでは、リバプールに所属するこのブラジル人アタッカーの獲得に向けて、バルセロナが静かに動き始めたようだ。

 地元バルセロナの『スポルト』紙によれば、ネイマールやルイス・スアレスとコンビを組んだ経験があるうえ、ドリブルもパスもハイレベルで、おまけに近年は高い得点力も身につけつつあるコウチーニョこそが「バルサに最適な人材」であると、かねてからルイス・エンリケ監督とロベルト・フェルナンデスSD(スポーツディレクター)の間で意見が一致していたという。

 バルサは昨年の夏、そして今年1月にもコウチーニョの獲得に乗り出していたが、リバプールが放出を断固拒否。交渉はあっさり決裂していた。もっとも、三度目の交渉に臨もうとしているバルサ側に獲得を急いでいる様子はない。『スポルト』紙も「バルサは2018年中の獲得をめざしている」と報じている。

 2020年までリバプールとの契約を残すコウチーニョの違約金は、7000万ユーロ(約84億円)以上と言われており、3000万ユーロ(約36億円)が相場とされていた15年夏からの1年余りで、その価値は倍以上に高騰している。加えて、このブラジル人アタッカーは、リバプールを率いるユルゲン・クロップ監督の大のお気に入り。コウチーニョ自身も「リバプールでの現状に満足している」とたびたびコメントしているだけに、前回同様、交渉は簡単にはいかないだろう。

 もしバルサ側に希望があるとすれば、それはネイマールとスアレスの存在だ。

 同じ92年生まれで、16歳の頃からブラジル代表でともにプレーしているネイマールは、「バルサに通じるスタイルを持っている」と、かねてからその実力を絶賛。これまでに何度もバルサへの移籍を本人に勧めてきた。

 またコウチーニョは、リバプール時代のチームメイトであるスアレスとも近い関係にあり、今月もバルサがマンチェスター・C戦(チャンピオンズ・リーグ4節)に向けてイングランド入りした際には、このウルグアイ代表FWに会うため、娘を連れてマンチェスター市内のホテルを訪問しているのだ(コウチーニョはそのときに撮影した自分と娘とスアレスの3ショット写真をインスタグラムに公開している)。

 インテルからのレンタル移籍でエスパニョールに在籍していた12年には、家族とともにバルセロナでの生活を経験している。はたして、仲間たちの誘いに応じて、コウチーニョがバルサの一員としてカタルーニャの州都に舞い戻る日は訪れるのか――。