コンビニの戦闘力は「グミ売場」を見れば一目瞭然というウラ話
コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の裏事情を徹底レポートする当シリーズ。前回の“チルドカップコーヒー”に続き、今回はお菓子の「グミ」を巡るシェア争いに注目。実はグミ売場を見れば、その店が持つ実力を把握できるって知ってましたか?
グミ売場を見れば、その店の販売力が分かる?
毎回、いろいろな商品ジャンルを取りあげているこのコーナーですが、今回は「グミ」に注目。正直なところ、これまで紹介してきた栄養ドリンクやビールといった飲料や、パンなどの食料品と比べると、少々存在感が薄いイメージもあるかもしれません。
ところがコンビニ側から見ると、グミの売場はとても重要なスペースのひとつ。というのも、コンビニの各店舗において、発注担当者をイチから教育する際に、まず最初に任せることが多いのが、このグミ売場なんです。
どうして発注担当初心者に、まずグミ売場を任せることが多いのか。それは、多くのグミ商品が以下のような特徴を共通して持っていることが、理由として挙げられます。
(1)商品のサイズがほとんど同じ
(2)フック陳列であるためフェイス管理がしやすい
(3)同カテゴリー内の売価が異なる
限られた売場面積の中で、最大の売上を稼ぐためにはどうすべきか。……発注担当者ならば必ず備えておきたい、そんな感覚を鍛えるのに、グミ売場は格好のスペースなんです。
また逆に、コンビニの本部サイドも、各店舗の持つ販売力・オペレーション能力を把握するひとつの指標として、その店のグミ売場を必ずチェックするそうです。
グミ売場を牽引する「御三家」とは?
このように、コンビニにとって意外に重要な商品カテゴリーであるグミ。某CVSチェーンのグミカテゴリーにおける売れ筋20位商品販売数をチェックしてみると、ここ数年は果汁グミ(明治)、ピュレグミ(カンロ)、ちびサワーズ(ノーベル)という3つの商品シリーズが、御三家とも呼べる人気ぶりを誇っています。
これらは各シリーズともに、新規商品を断続的に発売し続け、またフレーバーも変えるなどして、シリーズとしてのシェアを維持しています。なかでもピュレグミレモン(カンロ)とちびサワーズ(ノーベル)は、単品としても上位ランクインを続けています。
その反面で、最近は苦戦が続いているのが、フェットチーネグミ(ブルボン)です。ハード系(固い食感)のグミが売れ筋だった時代に、ソフト系(やわらかい食感)で勝負し、グミ市場を大いに席巻したこのシリーズは、女優の本田翼さんが出演していたTVCMも印象的で、2014年には第2位のシェア(23%)を占めていました。
ところが、その後は販売がどんどん落ちていき、2016年度のシェアはたった5%に。ソフト系という新しい市場を開拓した画期的な商品だっただけに、このところの元気の無さはちょっと心配です。
ハリボーが根強く売れ続けている理由
いっぽうで、グミカテゴリーの中で不思議なことに上位ランクインを続けている商品があります。それが男梅グミ(ノーベル)とハリボーシリーズです。
なかでも、ドイツにある世界的なグミ製造会社・ハリボーですが、このメーカーの商品が上位ランクを続けている理由の一つには、「売り手側の事情」があります。
トクホ飲料を取りあげた以前の記事でも話しましたが、コンビニ店舗側としては、同じ売り場面積でも1円でも多く売り上げを稼げるように、商品を展開したいもの。その点ハリボーシリーズは、販売売価が通常のグミの約2倍なうえに、販売が一定以上見込めるため、店舗側としては「多フェイス」「ゴールデンライン展開」を進めるのです。
結果として、それが好調な販売につながっており、いわば店舗とメーカーがWinWinの関係になっているのです。
文/日比谷 新太(ひびや・あらた)
日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp
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出典元:まぐまぐニュース!