仕事上での対立関係を超簡単に解消する方法
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第7回】

 上司と部下、本部と現場、営業とバックオフィス、ひいては経営者と労働組合から親と子、夫婦にいたるまで、複数の人が関われば、度合いの差こそあれ、そこに対立が生ずるのは世の常だ。

 そして、対立を解消しようとすると、真面目に解消しようとすればするほど、一生懸命になればなるほど、火に油を注ぐがごとく炎上し、対立が深まってしまうもの。そうした経験をした人も少なくないだろう。

◆実は頭の回転が速い人ほど対立を激化させる

 ビジネススキル向上のための演習を繰り返していると、対立を激化してしまう人には、特徴があることがわかってきた。それは、真面目で頭の回転が速く、そして思ったことをすぐ口に出してしまうタイプなのだ。

 対立を解消しようとして、真面目な方は、相手から異論や懸念を表示されると、よかれと思ってその都度、説明をしようとする。「いえ、そうではないのです」「違います。こういうことです」「誤解です。私が言っているのはこういうことです」……。そして、ああでもない、こうでもないと応酬が繰り返される。相手を否定し合う応酬自体が、火に油を注ぐことになる。

 頭の回転が速い人は、とっさに理論構築をする。しかしその回転の速さゆえなのか、応酬している間に、理論の一貫性にほころびが出て、相手に不信感を与え、対立が激化してしまうことがよくある。思ったことをすぐに口に出してしまうタイプの方は、その度合いがさらに高い。

◆コツは当事者同士を応酬させないこと

 これは、ある「ふんぎり」をつけることができさえすれば、とても簡単な方法で、劇的に対立を解消することができる。それは、「対立している当事者同士で応酬しない」ということだ。このように申し上げると、「当事者同士で応酬しないで、対立が解消できるわけがない」「雨降って地固まるというように、そもそも応酬を尽くして対立解消することが王道だ」「当事者同士を応酬させないなんて、逃げだ」という反応によく出会う。

 事実、「現在どのように対立解消していますか?」と問いかけると、「当事者同士で、納得するまで、とことん議論する」「時間をかけて議論を尽くす」「第三者を入れて、当事者同士議論させる」「冷却期間をおいて、あらためて当事者同士を議論させる」というように、出される意見は、当事者同士の応酬を前提としているものばかりだ。

◆相手陣営だけで検討させる

 しかし、年間100社から参加者を得て、対立解消の演習を実施するなかで、対立している当事者同士が応酬することこそが、対立解消させない根本原因であることがわかってきたのだ。では、対立している当事者同士を応酬しないで、対立解消させる方法とはどういう方法か? それは、反論をしてきた相手方に、相手陣営だけで異論や懸念を洗い出させ、最も深刻な問題に絞り込んでもらい、最も深刻な問題を解消する方法を検討してもらうことだ。
「なんだ、丸投げではないか」「そのような無責任なことが許されるのか」という声が聞こえてきそうだ。そうなのだ。丸投げこそが、対立解消の早道なのだ。一見無責任に思えるこの方法は、劇的に対立解消を実現するのだ。

◆相手を尊重できるかが対立解消の鍵

 応酬している間は、ああでもない、こうでもないと、相手の見解を否定しあうことが繰り返される。その否定しあうこと自体が、相手の反発の度合いを高める。したがって、相手を否定しないというアクションをとれば、相手の反発は和らぐことになる。そこで、相手陣営だけで検討いただくというアクションをとる。このアクション自体が、相手の検討に預けます、相手を肯定していますという、これ以上ないほどの強力なメッセージなのだ。