昨年のアジアカップでPK戦の末に敗れたUAEが初戦の相手。当時の借りを返す意味でも、ホームで幸先の良いスタートを切りたい。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 少し前になるけど、ロシア・ワールドカップのアジア最終予選の組分けが決まったね。グループBに入った日本は、オーストラリア、サウジアラビア、UAE、イラク、タイと対戦することになった。
 
 このグループで上位2位に入って、無事ロシアに行けるか――。率直な印象は、五分五分といったところだ。2次予選と違って、どの試合も勝っても負けてもおかしくないし、引き分けも当然、あるだろう。
 
 なによりも大事なのは、9月1日に行なわれる初戦、ホームでのUAE戦での勝利だ。その次の試合はアウェーだけど、グループの中でFIFAランクが最も低いタイを相手に取りこぼさないこと。そして、第3戦でホームでのイラク戦を迎えるわけだけど、ここまでの3試合の相手はすべて、日本よりFIFAランクが下。この時点で「勝点9」を稼いでいれば、その後の戦いもだいぶ楽になるんじゃないかな。
 
 というのも、4戦目にオーストラリア(アウェー)、5戦目はサウジアラビア(ホーム)と厳しいゲームが続く。最初の山場と言っていいかもしれない。ここを乗り切るためにも、序盤の3試合で勢いに乗っておきたいところだろうね。
 
 日本は5大会連続でワールドカップに出場している。アジアの予選は勝って当たり前という風潮があるかもしれない。でも、昨年のアジアカップでは準々決勝でUAEに敗れるなど、もはや日本はアジアの“横綱”ではなく、“大関”に落ちているんだ。その自覚を持って、ひたむきに、チャレンジャーの気持ちで最終予選に挑むべき。盤石の強さで勝ち抜いた2次予選の結果は忘れるべきだね。
 
 アジアの出場枠は「4.5」もある。“大関”でも突破できるわけだけど、日本のサポーターはそれでいいの? アジアレベルでの苦戦を容認するようでは、世界に出たらとても戦えないよ。
 
 懸念材料は、これまでも指摘してきたように、主力の顔ぶれに大きな変化がないことだ。本田や岡崎、香川など、不動のメンバーが少なくない。ということは、相手も過去の対戦から十分に研究できるし、日本の欠点などを知り尽くしているはず。彼らが知らない“新しい武器”が、今のハリルジャパンにあるとは思えない。
 
 欧州組のコンディションも気になるところだ。監督の代わったミランの本田や、2部降格が濃厚のハノーファーの清武や山口、酒井宏樹、同じくフランクフルトの長谷部らは、今夏に移籍の可能性があるかもしれない。
 
 もしチームが変わるようなら、新天地でのプレーは少なからず精神的にも負担になるだろうし、そうしたなかで9月の初戦を迎えるわけだ。みんな安泰であればいいんだろうけど、一時期の川島のように所属クラブがないという事態だけは避けたいね。
 
 一方、8月のリオ五輪本大会のグループリーグの組分けも発表されたね。こちらも日本はグループBに振り分けられ、ナイジェリア、コロンビア、スウェーデンと戦うことが決まった。
 
 五輪は16か国しか参加できないから、どうしても強豪国との対戦は避けられない。そのなかでも、難敵揃いのグループに入ったのではないかな。
 
 予選を兼ねたU-23アフリカ選手権を制したナイジェリアは、歴史的にもこの年代は良いチームを作ってくる。コロンビアは熾烈な南米予選を2位で切り抜け、大陸間プレーオフでアメリカを破り出場権を勝ち取った。スウェーデンも予選を1位で突破。日本は第1ポットだったけど、アドバンテージはほとんど感じられないね。
 
 純粋な実力の比較はもちろん、相手がオーバーエイジを使ってくれば、さらに苦しい戦いを余儀なくされるだろう。スウェーデンはイブラヒモビッチの噂があるし、コロンビアもハメス・ロドリゲスやバッカを招集してくるかもしれない。相当やっかいな相手になるよね。