なぜ歳をとると体(腰)が曲がるのか

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普段仕事でデスクワーク等をしている人は、つい腰が曲がって猫背になってしまうことが多いのでは? それこそお年寄りを見ていると、腰がすごく曲がってしまっている人が少なくない。人によっては、「自分も将来そうなるのでは……」と不安を感じる人もいるのではないか。しかし、なぜ歳をとると腰が曲がってしまうのだろう? 気になった筆者が本田整形外科クリニックの本田忠医師に、高齢者で腰が曲がるのはなぜか質問を投げかけてみた。

■歳を取ると腰が曲がってしまうワケ

「腰が曲がる機序しては3つあります。ひとつ目は骨の問題です。高齢になると骨粗鬆症になります。軽微な外傷で脊椎の圧迫骨折を起こします。そうなると脊椎がつぶれて曲がります。ふたつ目は筋の問題です。高齢になると筋力不足により、腰をまっすぐに保つ筋力が低下して腰が曲がってきます。みっつ目は神経の問題です。腰部脊柱管狭窄症になれば下肢の痺れが出てきますが、腰を曲げると狭窄が軽減して下肢の痺れが軽減しますから、腰を曲げて歩くことになっていきます。これが長時間になれば拘縮が起こってきます」(本田先生)

ちなみに拘縮とは、寝たきりや長時間体を動かさないことにより、関節の動きが悪くなる状態のことである。

筆者の推測では「老化現象による筋肉の衰えが、主な原因では?」と思っていたが、どうやら様々なメカニズムが関係しているようである。

■問題別の予防方法

さらに今回は、腰の曲がりの予防方法について、本田先生から詳しく情報を寄せていただいた。それぞれの問題別に応じた、予防の仕方をさっそく覗いていきたい。

まずは、ひとつ目の骨の問題を予防する方法である。

「骨粗鬆症により、一旦圧迫骨折を起こせば、変形を直すことは困難です。また骨粗鬆症では全身の骨がもろくなるわけですから、腰椎のみならず、全身の骨、特に肩関節や手関節、あるいは股関節などでよく骨折が起こります。骨粗鬆症による骨折は、寝たきりの原因の第2位です。寝たきりにならないためにも予防が大変大切になります。現在は多様な治療薬が出ています。50歳前後で生理が止まれば、骨量はどんどん減っていきます。定期的に骨量を測りながら、整形外科などで骨粗鬆症の治療を受けてください」(本田先生)

確かに歳を取ると、骨粗鬆症になりやすいと聞く。骨粗鬆症による脊椎の圧迫骨折が、腰を曲がらせてしまうのは前述の通りだ。

例えば尻もちをついたり、くしゃみをしたり、重たいものを持ち上げたりといった、ちょっとした動作ひとつで、脊椎が潰れて腰が曲がってしまうというのだから恐ろしい。こうした事態を防ぐためにも、骨粗鬆症の検査と治療が大事になってくるわけである。

■やっぱり定期的な運動が大事!?

続いて、ふたつ目の筋の問題を予防する方法についてである。

「日ごろから腹筋を鍛えてください。腰痛などがない時に行ってください。腹筋を鍛えるためには、仰向けに寝て必ずしも完全に上体を起こす必要はありません。お腹に力を入れて頭を上げておへそを覗くようにする、おへそ覗き運動や、おへそに力を入れるだけでも構いません。週に2〜3回、お風呂に入った後にでも行ってください。また運動後に痛みが出るようなら、運動強度を下げてください」(本田先生)

年齢とともに筋肉が衰えて代謝が落ちてしまう。いつまでも若々しい体を保つためにも、こうした運動から健康意欲を高めたいものだ。

最後に、みっつ目の神経の問題を予防する方法については、以下の通りである。

「腰部脊柱管狭窄症の予防は困難です。腰部脊柱管狭窄症の典型的な症状である、腰痛と下肢痛、特に歩行時に増強するような下肢痛があるようなら、きちんと整形外科で薬物治療を受けてください」(本田先生)

■姿勢への意識を高めよう

年を取ると腰が曲がってしまうメカニズムと、それぞれの問題別の予防法を見てきたが、いかがだっただろうか。

年齢よる体の変化をよく理解しながら、若いうちから定期的な運動を心掛けて、将来腰が曲がってしまうリスクをくれぐれも減らしたいものである。

「教えて!goo」では「あなたが歳をとったなぁと実感するのはどんな時?」と、引き続き意見を募集中だ。

柚木深つばさ(Yukimi Tsubasa)