「未来」に最も近い、8つの飛行機プロジェクト

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子どもから大人まで、「飛行機」にはいつも夢がある。NASAの超音速飛行機から、巨大ヘリウム飛行船まで、最もイノヴェイティヴで興味深い8つのプロジェクトをギャラリーで紹介。ノスタルジーを感じる復活プロジェクトもあるようだ。

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2/82. Aeroscraft ML886
米カリフォルニアAeros社のプロジェクトは、長さ169m横幅53mという怪物級の大きさの飛行船だ。3.5km以上の高度を飛行して、最大で時速222kmの速度で移動することができる。垂直離着陸(Vertical Take Off and Landing)システムとヘリウムガスの圧縮技術(COSH: Control of Static Heaviness. 静的重量コントロール)を備えていて、バラスト(おもり)と地上スタッフの誘導なしで高度を取り着陸することが可能だ。貨物輸送のために考案されており(最大で60トン)、Aerocraft ML886は5年以内には初飛行を行うはずだろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF AEROS

3/83. Solar Impulse 2
Solar Impulseは太陽光エネルギーを利用する超軽量機で、2009年にローザンヌ連邦工科大学の研究所から生まれた。その第2世代はカーボンファイバーでつくられており、翼幅72m(巨大なAirbus A380シリーズよりもわずかに小さい)、総重量2,300kgだ。燃料を利用することなく、高度10,000m以上を昼夜飛行することができる。この飛行機は、17,248個の太陽電池を使用する。太陽の出ている日中に重さ633kgの蓄電池に電力を蓄えながら、17.5馬力の4つのモーターを駆動させる。ベルトラン・ピカールとアンドレ・ボルシュベルクの操縦するテスト飛行では、35,000kmを旅する5カ月間の世界1周旅行のために2015年3月にアブダビを出発したが、バッテリーの損傷によりハワイで停止することになったという。2016年にようやくテストを再開する予定だ。このプロトタイプは、クリーンエネルギーを用いた新世代の民間機にヒントを与えるだろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF École polytechnique fédérale de Lausanne

4/84. Hyperjet
エアバス社は、この夏、弾丸型の超音速飛行機の発明をアメリカ特許商標局に特許出願した。マッハ4.5(時速約5,500km)の速度に到達することができ、ロンドン-ニューヨーク間の距離をわずか1時間で飛行するという。このジェット機は、一続きに作動する3つの異なるエンジンにより推進力を得る。胴体の下に取り付けられるターボリアクターは、スペースシャトル式に飛行機を滑走路から垂直上昇させる。続いて、エンジンが飛行機を巡航高度まで導く。翼のラムジェットエンジンは、音速の壁を突破するためにさらなる推進力を加える。最大収容人員は20人で、プライヴェート・ジェットや超高価なフライトでの利用が想定される。PHOTOGRAPH COURTESY OF AIRBUS

5/85. Skreemr
この未来的なコンセプトは、カナダの発明家シャルル・ボンバルディエールによって考案された。彼は、マッハ10(時速12,000km以上)、つまり音速の10倍で飛行することのできる75席の超音速旅客機を思い描いている。この目標を達成するために、Skreemrは電磁カタパルトを必要とするだろう。狭い空間で戦闘機を離陸させるために空母の上で用いられる従来のカタパルトの発展形だ。そして、液体推進剤のロケットと、Scramjet(Supersonic Combusting Ramjet:超音速燃料ラムジェットの略称)が必要となる。空気中の酸素を燃料と混ぜて、飛行中にさらなる加速を与えるエンジンだ。Scramjetエンジンは現在、中国とアメリカで開発段階にある。しかし、ボンバルディエールのジェット機がいつか現実のものとなるかどうかを予測することは困難だろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF CHARLES BOMBARDIER

6/86. Spike S-512
ボストンに拠点をもつSpike Aerospace社は以前、豪華超音速飛行機の計画を明らかにした。ロンドンとニューヨークを3〜4時間で結び、マッハ1.6〜1.8(最大時速2,200km)の速度で航路を駆け抜ける。独特なのは、胴体に沿って小窓がないことだ。それによって、重量と抵抗を減らす。内部は壁のカーヴに合わせたHDスクリーンで覆われ、そこで映画や外部カメラで撮影された映像が映し出される。ジェット機の開発費用は、1機約8,000万ドルの見込みだ。最初の公式飛行は2018年12月に計画されている。IMAGE COURTESY OF SPIKE AEROSPACE

7/87. Concorde 2.0
ブリティッシュ・エアロスペースとアエロスパシアルの英仏連合から生まれた「コンコルド」は、約30年の間、世界の航空学の最も象徴的な飛行機のひとつだった。ロンドン-ニューヨークの航路を3時間半で飛行した。1976年1月21日に公式に就航し、2003年末に引退した。非常に高い維持コストと、その3年前に起きた悲惨な事故の影響を受けた。現在、「Club Concorde」という名前のノスタルジックな人々のグループ(元パイロットや実業家の集まり)が、「復活」のために1億6,000万ユーロ以上を集めている。この懐古的プロジェクトは、観光向けアトラクションとして1機目のジェット機を修復すること、そして現在はパリのブルジュ空港にある2機目の飛行機を入手して、豪華チャーター機に変身させることを予定している。目標は、最初のプロトタイプの飛行からちょうど50年の2019年に新しいコンコルドを飛行させることだ。PHOTOGRAPH COURTESY OF DEAN MORLEY/Flickr

8/88. NASAの超音速飛行機
何年も前からNASAは、飛行のあり方を根本から変える「超音速飛行機」の開発に取り組んできた。音速を超えるときの騒音制限や、コストと環境インパクトを最小限にするエコロジーなエンジン開発といった主要な問題を解決するために、さまざまなコンセプトや研究が進められている(写真はたくさんのアイデアのなかの一案に過ぎない)。そのような意味で、並行して行われているたくさんのプロジェクトのひとつ、LEAPTechの最初の成功も、大いに希望を抱かせる。特殊なリチウム・バッテリーが電力供給する18の電気モーターを備えた小型飛行機で、控え目の速度だがごく初歩のテストをクリアしたという。IMAGE COURTESY OF NASA

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1. AHEAD
オランダKLM航空とデルフト工科大学のコラボレーションにより、イノヴェイティヴな輪郭の商用飛行機のアイデアが生まれた。翼が胴体の後部に統合されている。現在の偵察機を思わせるデザインは、空力抵抗を減らし、燃料消費を最小限にすることが可能になるだろう。2つの異なる燃焼システムを利用するハイブリッドエンジンのおかげでもある。ひとつは極低温(つまり液体)水素で、もうひとつはケロシン系燃料もしくはバイオ燃料だ。しかし、300席のプロトタイプの開発研究では、AHEADかそれに類する飛行機が2050年より前に空に飛び立つ姿を目にするのは困難だろうと説明されている。PHOTOGRAPH COURTESY OF DELFT UNIVERSITY OF TECHNOLOGY

2. Aeroscraft ML886
米カリフォルニアAeros社のプロジェクトは、長さ169m横幅53mという怪物級の大きさの飛行船だ。3.5km以上の高度を飛行して、最大で時速222kmの速度で移動することができる。垂直離着陸(Vertical Take Off and Landing)システムとヘリウムガスの圧縮技術(COSH: Control of Static Heaviness. 静的重量コントロール)を備えていて、バラスト(おもり)と地上スタッフの誘導なしで高度を取り着陸することが可能だ。貨物輸送のために考案されており(最大で60トン)、Aerocraft ML886は5年以内には初飛行を行うはずだろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF AEROS

3. Solar Impulse 2
Solar Impulseは太陽光エネルギーを利用する超軽量機で、2009年にローザンヌ連邦工科大学の研究所から生まれた。その第2世代はカーボンファイバーでつくられており、翼幅72m(巨大なAirbus A380シリーズよりもわずかに小さい)、総重量2,300kgだ。燃料を利用することなく、高度10,000m以上を昼夜飛行することができる。この飛行機は、17,248個の太陽電池を使用する。太陽の出ている日中に重さ633kgの蓄電池に電力を蓄えながら、17.5馬力の4つのモーターを駆動させる。ベルトラン・ピカールとアンドレ・ボルシュベルクの操縦するテスト飛行では、35,000kmを旅する5カ月間の世界1周旅行のために2015年3月にアブダビを出発したが、バッテリーの損傷によりハワイで停止することになったという。2016年にようやくテストを再開する予定だ。このプロトタイプは、クリーンエネルギーを用いた新世代の民間機にヒントを与えるだろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF École polytechnique fédérale de Lausanne

4. Hyperjet
エアバス社は、この夏、弾丸型の超音速飛行機の発明をアメリカ特許商標局に特許出願した。マッハ4.5(時速約5,500km)の速度に到達することができ、ロンドン-ニューヨーク間の距離をわずか1時間で飛行するという。このジェット機は、一続きに作動する3つの異なるエンジンにより推進力を得る。胴体の下に取り付けられるターボリアクターは、スペースシャトル式に飛行機を滑走路から垂直上昇させる。続いて、エンジンが飛行機を巡航高度まで導く。翼のラムジェットエンジンは、音速の壁を突破するためにさらなる推進力を加える。最大収容人員は20人で、プライヴェート・ジェットや超高価なフライトでの利用が想定される。PHOTOGRAPH COURTESY OF AIRBUS

5. Skreemr
この未来的なコンセプトは、カナダの発明家シャルル・ボンバルディエールによって考案された。彼は、マッハ10(時速12,000km以上)、つまり音速の10倍で飛行することのできる75席の超音速旅客機を思い描いている。この目標を達成するために、Skreemrは電磁カタパルトを必要とするだろう。狭い空間で戦闘機を離陸させるために空母の上で用いられる従来のカタパルトの発展形だ。そして、液体推進剤のロケットと、Scramjet(Supersonic Combusting Ramjet:超音速燃料ラムジェットの略称)が必要となる。空気中の酸素を燃料と混ぜて、飛行中にさらなる加速を与えるエンジンだ。Scramjetエンジンは現在、中国とアメリカで開発段階にある。しかし、ボンバルディエールのジェット機がいつか現実のものとなるかどうかを予測することは困難だろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF CHARLES BOMBARDIER

6. Spike S-512
ボストンに拠点をもつSpike Aerospace社は以前、豪華超音速飛行機の計画を明らかにした。ロンドンとニューヨークを3〜4時間で結び、マッハ1.6〜1.8(最大時速2,200km)の速度で航路を駆け抜ける。独特なのは、胴体に沿って小窓がないことだ。それによって、重量と抵抗を減らす。内部は壁のカーヴに合わせたHDスクリーンで覆われ、そこで映画や外部カメラで撮影された映像が映し出される。ジェット機の開発費用は、1機約8,000万ドルの見込みだ。最初の公式飛行は2018年12月に計画されている。IMAGE COURTESY OF SPIKE AEROSPACE

7. Concorde 2.0
ブリティッシュ・エアロスペースとアエロスパシアルの英仏連合から生まれた「コンコルド」は、約30年の間、世界の航空学の最も象徴的な飛行機のひとつだった。ロンドン-ニューヨークの航路を3時間半で飛行した。1976年1月21日に公式に就航し、2003年末に引退した。非常に高い維持コストと、その3年前に起きた悲惨な事故の影響を受けた。現在、「Club Concorde」という名前のノスタルジックな人々のグループ(元パイロットや実業家の集まり)が、「復活」のために1億6,000万ユーロ以上を集めている。この懐古的プロジェクトは、観光向けアトラクションとして1機目のジェット機を修復すること、そして現在はパリのブルジュ空港にある2機目の飛行機を入手して、豪華チャーター機に変身させることを予定している。目標は、最初のプロトタイプの飛行からちょうど50年の2019年に新しいコンコルドを飛行させることだ。PHOTOGRAPH COURTESY OF DEAN MORLEY/Flickr

8. NASAの超音速飛行機
何年も前からNASAは、飛行のあり方を根本から変える「超音速飛行機」の開発に取り組んできた。音速を超えるときの騒音制限や、コストと環境インパクトを最小限にするエコロジーなエンジン開発といった主要な問題を解決するために、さまざまなコンセプトや研究が進められている(写真はたくさんのアイデアのなかの一案に過ぎない)。そのような意味で、並行して行われているたくさんのプロジェクトのひとつ、LEAPTechの最初の成功も、大いに希望を抱かせる。特殊なリチウム・バッテリーが電力供給する18の電気モーターを備えた小型飛行機で、控え目の速度だがごく初歩のテストをクリアしたという。IMAGE COURTESY OF NASA

ウィルバーとオーヴィルのライト兄弟がエンジンを搭載した動力飛行機で「世界初飛行」を行ったとき、彼らはこの不格好で少し狂気じみた挑戦が人類の歴史を決定的に変えることになるとは、決して想像していなかっただろう。

しかし、彼らのパイオニア的偉業から100年以上が経っても、人は夢見ることをやめず、飛行機の限界を超えようと試みている。より革新的で、時代に先駆けたソリューションを追い求めて。それらは、太陽光エネルギーを利用するエコロジーな飛行機から、少なくとも理論的には世界の端から端までを現在ではありえないほど短時間で旅することのできる超音速飛行機にまで及んでいる。

飛行機のイノヴェイションのいまを知るために、『WIRED』イタリア版では特に魅力的なプロジェクトを8つ、集めた。選んだのは、未来のテクノロジーだけではない。予想もしていなかった過去への回帰も、今後実現するかもしれない。

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