福島県立医科大学医学部主任教授の下村健寿氏が、YouTubeチャンネル「著者が語る」で「【下村健寿が語る】間違いだらけの私たちの糖質制限戦略」と題した動画を公開した。糖の過剰摂取が引き起こす認知症や糖尿病などのメカニズムを解説し、極端な糖質制限ではなく、適切な糖のコントロールが健康維持に不可欠であることを説いている。

下村氏は、認知症の発症率が高まる現代において、日常的な「糖の制御」が予防の鍵になると語る。一方で、糖自体を悪とみなす極端な制限には反対の立場をとり、「糖は絶対に必要な栄養素であり、適度にきちんと摂り、摂りすぎないことが大事」と強調した。認知症とアルツハイマー病の違いについても触れ、認知症は状態であり、アルツハイマー病はその状態を引き起こす原因の一つであると定義する。

体脂肪に対する誤解として、「皮下脂肪は悪さをしていない」と説明した。皮下脂肪は本来の脂肪の貯蔵庫であり、いわばゴミ箱のような役割を果たす。しかし、食べ過ぎによって皮下脂肪に収まりきらなくなった脂肪が、内臓脂肪や脂肪肝として蓄積すると、それが「ゴミ屋敷」状態となり、周囲に炎症物質を撒き散らす。この低レベルの炎症が全身を巡り、数十年かけて脳の組織を破壊していくプロセスを分かりやすく解説した。また、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβやタウタンパク質も、脳に溜まるゴミであると表現している。

健康診断で空腹時血糖値やHbA1cが正常でも安心できない理由として、食後急激に血糖値が上がる現象の危険性を指摘する。インスリンは細胞に糖を取り込むための「ドア」を作る役割を果たすが、一度に大量の食事をしたり、夜中にラーメンを食べたりすると、すい臓のβ細胞が無理をしてインスリンを分泌し続けることになる。「若い頃は乗り切れても、長年酷使するとすい臓が疲れ果てて糖尿病になる」と語り、すい臓を休ませる規則正しい食生活や、インスリンなしでドアを作れる運動の重要性を説いた。

糖は体に必要なエネルギー源であり、問題なのはその付き合い方にある。すい臓を休ませて適度な運動を心がけることが、将来の認知症や糖尿病を防ぐ最善の戦略であると結論付けた。

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