「誰もが『何かが足りない』という欠落感を抱えている」文中にあるこの言葉に、はっとした。多くの人がほしいと思うものを手に入れても、自分で道を切り開く強さや前向きな心を持っていても、「足りない」という思いを人は抱えて生きていくのだろうか。この小説にはふたりの主人公がいる。ひとりは凪。十歳の息子の母で、銀行員だ。ロンドンへの赴任をきっかけに離婚したばかりである。