脳科学者の茂木健一郎氏が自身のYouTubeチャンネルで「浅田彰さんについて」を公開した。動画内で茂木氏は、最近トレンド入りした浅田彰氏について、世間で囁かれる「初期の後、まとまった著作がない」という批判的な意見に対して独自の見解を示し、同氏の並外れた知性とその本質について熱弁を振るっている。

動画の冒頭で茂木氏は、自身が大学生だった頃に巻き起こった「構造と力」の爆発的なブームを回顧。東大生協にも関連書籍が平積みされ、同級生が「構造主義と力が建築のコーナーにあった」とジョークを飛ばすほど流行していた当時の熱気を振り返った。その上で、浅田氏のもう一つの代表作である『逃走論』の立派さを称えつつ、その後浅田氏が「その後、まとまったものをお書きになっていらっしゃらない」と批判され、「もったいない」と論じられる現状について、「自分はそれでもいいのではないかと思う」と擁護する姿勢を見せた。

続けて茂木氏は、浅田氏の周辺で語られる日本の思想界や、「ファッショナブルナンセンス」といったローカルな議論にはあまり関心がないとしつつも、「浅田彰という人はすごい人だと思う」と手放しで称賛した。その理由について「スペックが高すぎる」と表現し、自身が体系的に興味を持つ本来の専門領域から離れて語る際にこそ、その凄まじい知性が現れると指摘した。

具体的な事例として、10年以上前に放送大学で芸術論を割り振られて語っていた際のエピソードや、最近ネット上で見かけたという、なぜアメリカのキリスト教右派がイスラエルを支持するのかについての言及を提示。「ちょっと出ていってしゃべる時に現れる知性は凄まじい」と語り、体系化された枠組みに収まらない浅田氏の知のあり方を高く評価した。

最後に茂木氏は、浅田氏の人物像について「愛の人だと思う」と独自の視点で断言。「他人がとやかく言うことじゃねえだろう」と周囲の批判を一蹴し、ご本人が一番さまざまなことを感じ、考えているはずだと推し量った。枠にとらわれない天才の生き様に対する深い敬意と賛辞を残し、動画を締めくくった。

チャンネル情報

一人ひとりの「個性」が活かせて、「自由」で、「創造的」な生き方ができるように、応援するような発信をしていきたいと思います。複雑な現代を生きるための、科学、社会、本、音楽、映画、文化、芸術、人間、コメディを扱う総合的な脳の教養のチャンネルです。人間の脳のこと、人工知能のこと、創造性のこと、個性のことなどを考えます。