江戸時代の「裁き」の記録は3点しか現存していない。そのうち、もっとも長期間の記録が、長崎奉行所の「犯科帳」だ。江戸時代の社会の実情がわかる貴重な資料である。この「犯科帳」を見ていくと「宿なし」「無宿」という言葉が目につく。これらは、当時の共同体から排除されていた人たちを指し、他の地域から長崎へ来ていたことがわかる。江戸社会が監視し、存在を許さなかった「宿なし」「無宿」とは何だったのか。そして、なぜ