「源氏物語は長くて読めません」「人間関係が難しいです」などと学生に泣きつかれるたびに、きまってこの本を差し出した。みな律義に返してくれたから、まだ手もとにある。刊行の二カ月後、二〇〇二年四月のもので、第五刷とある。見開き二頁(ページ)八コマの漫画で各巻のあらすじを示し、読解に必要な風俗などの豆知識を補足する。夕顔からの「心あてに」の歌、若紫を見出(みいだ)だした光源氏の「手に摘みて」の歌、末摘