とある8月の日曜日。麦わら帽子を被った彼女は、まるでタイムスリップしてしまったかのようなノスタルジーに溢れる谷中の街並みを歩いていた。 同じ東京なのに、何だか観光に来たみたい。そんな風に思いながら歩を進めていた彼女は、それからすぐに『ひいらぎ』と書かれた大きな木の看板を見つけた。 覗いてみると、和雑貨のようなものが並んでいるのが見える。窓ガラス越しでも伝わる涼やかな雰囲気に惹かれ、彼女はお店のドア