「坊や、よく覚えとけ、世の中のもの全て人間が作ったもんだ。人間が作った世の中、人間にこわせないものはないんだ」この人は天才だと思った。立川談春『赤めだか』は競艇選手に憧れ、身長が規定よりも高かったために、その世界に進むことを断念せざるを得なかった一人の少年が、立川談志という天才の高座に出会い、魅了され、高校を中退して弟子入りすることから始まる。談春の青春記というべき内容であり、紆余曲折を経て彼が真