仙台育英vs美里工vs沖縄尚学
8打数5安打と大当たりを見せた佐々木良介
練習試合が解禁になった。 昨秋の明治神宮大会で優勝した仙台育英は、6日に沖縄入り。7日の練習を経て、沖縄尚学と美里工と試合を行った。両校とも、昨年のセンバツ大会に出場したチームで、特に沖縄尚学は一昨年の明治神宮大会を制している。
初陣は沖縄尚学。前日、7日の練習後に「ピッチャーを試したい」と話していた佐々木順一朗監督が先発に指名したのは中島 隼也。初回に2つの死球を与え、タイムリーを浴びて１点を失ったが、２回以降は安打を浴びながらも粘投した。中島は６回まで投げ、7回の1イニングのみ、エース・佐藤 世那が登板。先頭から三振を奪うと、後続の2人をショートゴロに打ち取った。8割くらいの力で投げたという佐藤世は「感覚としては思った以上によかったです。去年と変わらなかった。（冬場で体重が増え）ボールに体重が乗っているのが分かりました」と納得の表情。スピードも出ていたが、「自分としては140が出ていない感覚なのに出ていた。フォークも思ったところに投げられ、いいスタートがきれたと思います」と振り返った。
佐々木監督も「対打者の感覚が去年秋と変わっていなかったですね。ゾーンの使い方もよかったし、フォークもいいところから落ちていた。沖縄尚学のグラウンドは球速が出にくいと言っていたので、140キロが出たということは、142、43キロは出ていたのでは」とエースを称えた。
8、9回は身長193センチの鈴木俊介がマウンドへ。走者を背負いながらも落ち着いた投球を見せ、無失点に抑えた。 一方の打線は3回まで三者凡退に抑えられ、4回もエラーで１人が出塁したのみ。昨秋、猛威を振るった打線にかげりが見えたが、5回、この回、先頭の5番・佐々木 良介がセンターに二塁打を放って口火を切ると、6回に打線が爆発した。一死一、三塁で3番・平沢 大河がライトへタイムリー二塁打を放って同点。さらに、2死2、3塁で、「カーブを狙っていた」という佐々木良が狙い通りのカーブを捉えてライトへ3ランを放った。
ソーキそばを食べる平沢大河選手
仙台育英は、8回にも3点を加え、7-2で勝利した。 試合後、佐々木柊野主将は「（攻撃は）前半がダメでした。試合に慣れた後半から得点が取れたので、初回から“慣れている”という感覚でやらないといけないなと思いました。秋から、きっかけがあるとつながる打線なので、つながったことはよかったです。1イニングだけですが、世那の内容がよかったと思います。初戦としては70点。前半、ダメだったところがマイナスです」と話した。
昼食は、沖縄尚学の父母会が用意した「軟骨ソーキそば」と「沖縄風いなり」に舌鼓を打った。その後、バスで1時間ほどかけて、美里工に移動。この日、2試合目を戦った。
先発した福山 龍旺は3回の先頭打者の打球が足に直撃するアクシデントもあり、その後、連続タイムリーで2失点。6回にもタイムリーを浴びて失点したが、6イニングを7安打3失点と久々の実戦としてはまずまずの結果を残した。
7回には、昨秋の県大会決勝の東陵戦以来のマウンドとなる百目木 優貴（どめき）が登板。2死から死球を与えたが、その走者が盗塁死。佐々木監督と相談し、８回もマウンドへ行ったが、5安打を浴びて4点を失った。足でかき回される場面もあった。捕手の郡司 裕也は「点を取られたのは仕方がないと思います。百目木はコントロールがまとまっていたし、変化球も全部、よかったです」と前向き。佐々木監督も「勝ち負けではない。東陵戦以来ですから、投げられたことがよかったと思います。まだ“ピッチング”はしていません」と話した。
高校通算13本塁打目を放った平沢大河選手（仙台育英）
得点は4回に平沢がライト奥の体育館に直撃する2ランでの2点のみ。2-7で敗れた。仙台育英の敗戦は昨年11月の練習試合で常総学院に負けて以来。美里工戦を含め、現チームで69試合を戦い、4敗目だった。試合後のミーティングで佐々木監督は「攻撃はぶつ切り。それだと何も起きないよ」と選手たちに話していた。佐々木柊主将が「先生（佐々木監督）に打線じゃなくて、一人ひとりが点になっていると言われたので、直していきたいです。甲子園前に負けたことは悪いことですが、負けから収穫を得たいと思います」と反省すれば、平沢も「一人ひとりの力はついているので、センバツまでに“打線”になるようにしたいです」と誓った。
冬場も土の上で練習ができる沖縄のチームについて「こなれている」と何度も口にした佐々木監督。残り、4試合で仙台育英にも「こなれている」感覚が出来れば、面白くなりそうだ。
好調ぶりを示した佐藤 世那投手と、高校通算13号を放った平沢 大河選手のインタビューは下記より！・【インタビュー】仙台育英学園高等学校 平沢 大河選手「頂点を目指し全力疾走」（2015年02月27日）・【インタビュー】仙台育英学園高等学校 佐藤 世那投手「頭脳的フォークボーラの進化の過程」（2015年02月27日）
(文=高橋 昌江)
