第87回選抜高校野球大会の選考を振り返る【21世紀枠 編】
21世紀枠は今年で15年目。夏とは違う選抜大会ならではの特徴として、すっかりおなじみの枠となっている。 午前の21世紀枠推薦理由説明会では、各地区理事が熱いトークでプレゼンテーションを行い、21世紀枠特別選考委員に長所をアピール。 選出方法は例年どおり西日本(近畿、中国、四国、九州)と、東日本(北海道、東北、関東、東海、北信越)から各1校ずつを選び、3校目は地域を限定せずに選考した。
■ 松山東
西日本の選考は4校のうち比較的評価が高かった3校を中心に審議が進められ、最終的に松山東が選出された。 松山東は｢野球｣(の・ぼーる)の雅号を使った正岡子規が1892年の創部にかかわったとされる伝統校。学業との両立に励み、質の高い練習で2014年夏の愛媛大会は準優勝。秋も準優勝して63年ぶりに四国大会に出場した。野球部以外も文化系を含めた数多くの部が全国大会に出場している。特別選考委員会では｢野球の歴史を長年継承している点が評価できる｣｢県内で私立の壁が厚い中で長年練習を工夫し、夏秋連続の県大会準優勝につなげた｣などの意見が出た。※プレゼンテーションをした愛媛県高校野球連盟の二神弘明理事長が披露したのは、｢東高、がんばっていきまっしょい｣の掛け声。この言葉は気合入れの掛け声で、学校に一体感を作るべく体育や行事の時に使われている。さらに｢今大会の21世紀枠の選考において、これほどのタイミングと話題性を兼ね備えた学校はないと考えています｣と特別選考委員に強く訴えたのが実った。
東日本東海地区注目右腕・森投手(豊橋工業)
■ 豊橋工
東日本の選考は5校のうち評価が高かった3校を中心に議論が進められた。いずれも甲乙つけがたく議論は白熱したが、多数決の末に、豊橋工が小差で選出された。 豊橋工は練習環境作りに工業高校ならではの工夫を凝らし、ティー打撃ができるビニールハウスを作り、ダンベルも施盤加工した金属を使用する。秋季愛知大会で3位となり、東海大会に初出場した。特別選考委員会では｢自分たちで部の練習道具を作るだけでなく、近隣の学校のネット修理にまで出向いている活動は希有ではないか｣｢工業の資格取得に熱心に取り組むなど工業高校として文武両道を目指している｣などの意見が出た。※プレゼンテーションをした愛知県高校野球連盟の森淳二専務理事が強く訴えたのが、21世紀枠が始まり過去14年で、これまで東海地区から1度しか選出されていない点。豊橋工の特徴としては、好守交代時の全力疾走などのマナー面。この点では、｢辛口の県高野連の審判部も絶賛している｣とアピールした。さらに林泰盛監督は、時習館の主将として1998年夏の第80回大会で、第1回大会からの皆勤出場の記念として甲子園で特別入場行進を経験。｢この時の感激が彼を指導者への道に導いたと聞いています｣という話題も披露した。
ラスト1校■ 桐蔭
残った7校から1校を選出するにあたり、西日本、東日本の選考で評価が高かったが選出に至らなかった4校を中心に検討し、最終的に多数決の末、桐蔭が3校目として選出された。 桐蔭が創立1879年の伝統校。夏の選手権は和歌山中学時の第1回大会(1915年)から14回連続出場。春も第1回大会(1924年)に出場した。中高一貫で併設の中学に野球部がなく部員の確保に苦しんでいるが、全力疾走をモットーに密度の高い練習で強化に励んできた。特別選考委員会では｢高校野球を草創期から支え発展に貢献してきた学校であり、高校野球100年の節目の年に評価したい｣などの意見が出された。※プレゼンテーションをした和歌山県高校野球連盟の松下博紀専務理事は、併設中学校ができ、高校からの外部募集枠はわずか3クラス(120名)と縮小され、入学が困難になっていることを話した。さらに、｢中学には野球部設置されておらず、野球部員の確保も苦しい現状にある｣と現在の桐蔭の状況を訴えた。最後に｢大正13年4月、当時の和歌山中学野球部後援会長の出来助三郎氏と、初代毎日新聞和歌山支局長の安井彦三郎氏の両氏が礎を築かれて始まった選抜野球大会は87回目を迎えます｣と強調し、高校野球100年の節目の年に相応しい学校であるとアピールした。
補欠1位：平田(島根)補欠2位：金沢商(石川)
(一部、主催者発表文より引用)
