搭乗ロビーに向かうミニスカCAたち(写真/江波旬)

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 業績の著しい悪化に青息吐息の航空会社「スカイマーク」。ミニスカCAで知られる同社だが、経営の危機を脱するために大手との提携案を打ち出している。しかし大手の傘下に入れば、経営の独自性に制限がかかるかもしれない。危惧されるのが「ミニスカCAの存続」だ。14日投開票の衆院選が終わればすぐにでも決着がつくとも言われているスカイマークの提携問題。ユーザー目線でその危機を探ってみた。

 2階建ての旅客機エアバスA380の就航。国際線への進出。2013年末に数々の話題をさらったスカイマークだが、業績見込みの甘さがアダとなり、A380を導入する資金を用意できずに計画は頓挫した。

 さらにエアバスへの違約金などが経営を圧迫し青息吐息の状態だ。スカイマークは急場をしのぐためにJALに助けを求め、JAL側もその気になっていた。ところが「公的資金で持ち直したJALが偉そうに他社の救済なんかするな!」と国交省から待ったがかかった。

 当の国交省はANAとの提携を提案しているのだが、そんなのはどっちでもいい。気になるのはそんな瑣末なことではないのだ。

「大手の傘下に入れば、その会社の方針が経営に反映されることになります。つまりサービスの独自性を打ち出しにくくなるのです。スカイマークの代名詞とも言える『ミニスカCA』はもしかしたら廃止されるかもしれません」(航空ジャーナリスト)

 スカイマークのミニスカCAは一部の批判もあったが、いざ始まってみると問題なく運用されている。ファンも多く、スカイマークの売上の一翼を担っているといえるだろう。ということで実際にスカイマークの乗り心地を検証してみた。

プレミアム仕様のシートに快適なサービス

 ミニスカCAが登場するのはスカイマークA330と呼ばれる飛行機。毎日7〜10便が羽田と福岡間を往復している。搭乗するCAは8人だ。

 11月某日、同社のHPよりチケットを購入。ネット上で空席状況まで確認できるから便利だ。CAにもっとも近い席の購入を試みた。つまり離陸時や着陸時にCAが腰掛ける席の向かい側だ。1列目、12列目、30列目がそれである。

 ただ、12列目と30列目は非常口の真横なので、ネットでの購入は不可。搭乗当日に飛行場のカウンターまで行き「非常時の心得」についてスタッフの説明を聞いて初めてゲットすることができるのだ。

 とりあえず別の席を予約しておいて、搭乗当日にカウンターで座席の変更をしてもらった。ちなみに1列目の正面はチーフCAの指定席だ。熟練の技を堪能したければ1列目、初々しさを楽しみたいなら12列目か30列目がオススメだ。

 出発時間まで搭乗ロビーで待っていると、ミニスカCAの一群がやってきた。手にはお弁当が入ったコンビニ袋がぶら下げられている。なんとも庶民的な姿だ。好感度アップである。

 サービスの内容を必要最低限に抑える代わりに、運賃を安くするというのがスカイマークの戦略だ。「ミニスカCAは荷物のあげおろしなどを手伝ってくれない」といったウワサがあったがそんなことはない。大きなバッグを棚にあげようとしているお年寄りなどがいたら、すぐに手助けしてくれる。

 そんな場合、CAたちはつま先立ちで伸び上がるのでスカートの裾が少し上がる。恥ずかしい気持をおさえて、お客様のために身を挺する。なんと美しきサービス精神。

 同じように「フットレストの定位置戻し」も彼女たちの大切な仕事である。

 スカイマークA330は全席プレミアム仕様のシートを採用している。通常のエコノミー席なら440席設置できる客室を271席に抑えることで席幅を従来より最大19センチ広げた。おかげで足元や間隔が広いゆったりしている。さらに全席にフットレストが設置されている。スイッチひとつで足元が跳ね上がってリクライニング効果を高めるのだ。

 これは離陸時、着陸時には元に位置に戻さなければならない。ところが足の力が弱っているお年寄りは戻せずにモタモタしてしまう。するとCAたちがやってきてフットレストを押し戻してくれるのだ。この時、彼女たちは床に膝をつくようにかがむ、その姿はまさにプライスレス。

 それやこれやの準備が終わったころ、いよいよ離陸である。飛行機が上空で安定した姿勢になるまで、CAたちは定位置の席に座る。そう、いよいよお見合い席にやってくるのだ。

 お見合い席に座るCAは1辺が50センチにもおよぶスカーフを取り出し、そのスカーフをひざの上にふわりと掛けた。さらに、気流の影響などで機体が揺れたりすると、両足をこのスカーフでぐるりと包んだ。ミニスカCAの苦労はこんなところにもあるのだ。

 お見合い席に座った小嶋陽菜似のCAは「これ、なくても大丈夫なんですけど、一応、用心のためです」と可憐に微笑んでくれた。

 飛行機は定刻通り羽田を飛び立ち、定刻通りに福岡空港に到着した。約2時間の空の旅。いろいろな意味で快適な時間だったのである。

 いろいろと失礼なことを書いたが、スカイマークの快適さをお伝えしたいがためである。なにとぞご容赦いただきたいのです。

(取材・文/江波旬)