Googleは気球や人工衛星によって、世界中の僻地に至るまでありとあらゆる場所でインターネット通信ができるように奮闘していますが、2014年4月に買収したTitan Aerospaceの太陽光無人航空システム(UAS)を搭載した、5年以上飛行可能な「大気圏衛星」の別名を持つ「Solara 50」のような無人機を使って、離島などの僻地でもネット回線を提供するための実験を計画しています。

Google testing drones that could provide Internet access to remote lands | Ars Technica

http://arstechnica.com/information-technology/2014/09/google-testing-drones-that-could-provide-internet-access-to-remote-lands/

Public and Redacted Version of Request for Confidential Treatment and Complementary Exhibits

(PDFファイル)https://apps.fcc.gov/els/GetAtt.html?id=153490

Googleは僻地でのインターネットアクセスを可能にするため、太陽エネルギーで駆動するドローンのテストを行う許可を連邦通信委員会(FCC)に申請しました。テストの詳細はFCCに宛てたGoogleのPDFファイルに記載されています。

PDFファイルによると、Googleのテストには2014年4月に買収したTitan Aerospaceが持つ、高高度に長期間滞在可能な太陽光発電無人航空システム(UAS)を用いることがわかっています。Googleは「UASのシステムは僻地へのインターネット提供だけでなく、最終的に石油流出や森林破壊といった環境被害の監視に使われるだろう」と話しています。



テストの特別的一時許可にはデモンストレーションとテスト中の十分な環境の配慮が必要とされますが、許可が下りるようであれば、Googleは2014年10月6日(現地時間)から180日間にわたるドローンのテストを希望しています。エンジニアコンサルタントSteven J. Crowley氏のブログによると、場所はTitan Aerospaceの本拠地があるニューメキシコ州の非法人コミュニティであるスタンレーを中心に行われる予定で、910MHz〜927MHz、2.4GHz〜2.414GHzの周波数帯で送信されるとのこと。

テストの申請にあたって低いチャンネルのWi-Fiは2.4GHzの周波数帯と重複することや、900MHz周波数帯が無線インターネットサービスプロバイダー、スマートメーター、料金リーダーなどと重複することが予想されるほか、900MHz帯域の911(緊急通報用電話番号)の位置情報サービスへの利用が計画されていることなどが指摘されていますが、Googleは公式にどの周波数帯を使用するかは明かしておらず、「私たちは他のユーザーの周波数帯を回避できるだろう」とFCCに伝えています。

なお、Googleはこれまでにも10億ドル(約1000億円)以上を投じた180個の人工衛星で世界中どこでもネット可能にするプロジェクトや、アンテナを搭載した気球を成層圏に飛ばして僻地のネットを可能にする「Project Loon」といったインターネット接続計画を推し進めているわけですが、さらに「Project Wing」と呼ばれるドローンによる製品デリバリーサービスの飛行テストも実施しています。

Introducing Project Wing - YouTube

Google Xの中でも、特に成功する確率の低い革新的な研究を行う「Moonshots」チームのトップであるアストロ・テラー氏が登場。



オーストラリアで飛行テストが開始されます。



垂直に離陸した後は機体を水平に傾けて飛行しています。



レーダーで目標地点に到達したら……



「バサ」とヒモ付きの荷物を真下に投下。



地面に落ちた後はヒモだけ回収されました。



荷物に取り付けられていたヒモ付きユニットが機体に回収されるところ。



中にはビーフジャーキーが入っており、実験に付き添っていた犬は大喜び。



Amazonは以前からドローンによる配達システムの確立に努めていますが、各企業が競い合ってドローンの普及が進んでいます。日常的な無人機の普及はそう遠くないのかもしれません。

さらに、第三者認証機関、船級協会、オイル&ガス分野のリスクマネジメント、風力/電力送配電分野のエキスパートを主とする世界有数のサービス・プロバイダーDNV・GLが、無人飛行機ならぬ「無人海上輸送船」というコンセプトまで発表しており、これまでは人の手が必要だった乗り物の自動運転化がどんどん進んでいます。

"ReVolt" - An unmanned, battery-powered ship concept - YouTube