【インタビュー】スポルティング・田中順也が語るポルトガルでの日々と日本代表への想い
ネルシーニョに口酸っぱく言われたのは、ピッチの上での動き方だった。田中はFWにサイドハーフと、攻撃的なポジションならどこでもこなせる選手だ。90分間走り続けられる運動量は彼の持ち味でもある。しかしネルシーニョはそんな田中に反対のことを求めた。
「ネルシーニョには『お前は動きすぎる、使いどころを考えろ』と言われ続けましたね。自分は運動量が持ち味なのに、動くなということで最初は苦労しました。それでも、監督の要求に応えているうちに、徐々に分かっていった。それで少しずつ成長できて、日本代表にも手が届くようになってきた。今回のように、いきなりビッグクラブにも入れて……。それもネルシーニョや、周りに叩き込まれてきたことがあったからでしょうね」
プロになってから海外移籍に対する興味はあったものの、田中は幼い頃から海外サッカーを観てきたわけではない。さらに言えば、Jリーグにもほとんど興味がなかった。自分がプレーすること以外は、なにも関心がなかったのである。
型にはまったプレーではなく、普通なら打たないような場面でも振り抜く独特の感覚は、むしろ観なかったことで養われたのかもしれない。どこか日本人離れしたゴールが多いのもうなずける。
しかし、昔から海外サッカーを観ておけば良かったなと思う気持ちは、スポルティングに来てからより強くなった。
「今は観ます。観ないと、全然ダメですね。海外に来ると、まず身体能力の部分で差を感じるわけです。それでも、同じ体格でもやれている選手もいる。だったら、自分もできるんじゃないかと。他の選手のプレーを観ることも勉強になります」
スポルティングに加入し、2か月が経った。出発の際、成田空港で買ったポルトガル語の参考書は日々開いているけれど、会話はまだ簡単なものしかできない。練習でもミーティングでも、周囲にはポルトガル語が飛び交う。そんななか、田中は必死で溶け込もうと努力している。
「僕はオープンなほうなので、片言でもすごく話しています。昨日もチームメイトとご飯に行ってました。歌って踊っていれば問題ないです(笑)。ただ、最初は勢いで仲良くなれるけど、課題はある程度時間が経ったあと。結局、シリアスな話はできないので、そこからの付き合いは難しくなってくる。もう自分は新しい存在でもないし、変顔にしろ、踊りにしろ、もう笑ってくれなくなった。勉強は常にしているんですけど」

