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●4K試験放送スタートで、ついに4Kコンテンツ時代に?4K試験放送が6月2日にスタートしたことは、ニュースなどでも大きく取り上げられており、読者の皆さんにもご存知の方は多いことだろう。

各社の大型テレビで4Kモデルの比率が高まってきている。BCNによる2014年5月の調査では、50V型以上の大型テレビは台数ベースで20.2%、金額ベースでは36.5%が4Kモデルになっているとのことだ。一方、これら4Kモデルの実力を発揮する4Kネイティブコンテンツはまだまだ少ない。

次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が行っている4K試験放送「Channel 4K」(502ch)は、スカパーJSATが運用している通信衛星「JCSAT-3A」(東経128度)と「JCSAT-4B」(東経124度)を使用したサービス。現行のハイビジョン放送(BSデジタル:1,920×1,080ドット)の4倍となる3,840×2,160ドットの画素数、さらに60Pによる滑らかな動きで、4Kテレビ本来の高い表現力を楽しむことができる。映像圧縮には、デジタルハイビジョン放送が使用しているMPEG-2の約4倍の圧縮率を持つHEVCが使用されている。

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Channel 4Kは2014年7月現在、毎日13〜19時に6時間の放送が行われている。放送されているコンテンツは、NexTV-Fに加盟している放送局が製作した4K番組。6月2日のスタート時点では、主に「Channel 4Kダイジェスト」と「日本の風景」の2番組が繰り返し放送されていた。

○続々とコンテンツが追加されるChannel 4K

「Channel 4K ダイジェスト」は、今後放送される4Kコンテンツのダイジェスト版で20分のプログラム。「日本の風景」は、日本各地の風景を4Kで撮影した30分のプログラムだ。NexTV-Fによると、6月はまだ予告レベルとのことで、7月1日よりプログラムが変更され、番組が追加されている。

追加された番組は、「THE 世界遺産 4K Premium Edition Detail of the Earth -地球の素顔-」や「2013 鈴鹿8耐 4Kプレミアムダイジェスト」など19本。2014 FIFA World Cup Brazilも決勝、準々決勝など4試合が放送される。さらに、8月以降に追加予定の放送番組も、現時点で4番組が予定されている。また、8月以降は、7月に放送されているコンテンツの入れ替えも行われる予定だ。

NexTV-Fによると、今後も続々とコンテンツの追加を予定しているとのこと。2014年秋をめどに、放送時間の延長も検討しているそうだ。

●Channel 4Kを視聴するには何が必要?Channel 4Kを視聴するために必要なものは、HDMI 2.0とHDCP 2.2に対応した4Kテレビ、ハイスピードHDMIケーブル(カテゴリー2)、Channel 4K対応チューナーとスカパー!ICカード、124/128度CSデジタル放送対応アンテナとなっている。

これまで発売されてきた4Kテレビの多くは、ファームウェアやハードウェアのアップデートによりHDMI 2.0とHDCP 2.2に対応可能だ。例えば、ソニーは2014年5月に、HDMI 2.0とHDCP 2.2への対応について発表しており、東芝では2013年12月にHDMI 2.0へのバージョンアップ、2014年6月にはHDCP 2.2へのバージョンアップを発表している。なお、2011年12月に発売した「レグザ 55X3」と2012年6月に発売した「レグザ 55XS5」に関してはアップグレードの対象外とのことで、今後も対応予定はないという。

HDMI 2.0とHDCP 2.2に対応した4Kテレビを使用している場合には、チューナーやアンテナなどを揃えれば、Channel 4Kの視聴が可能だ。2014年7月時点で市販されているチューナーは、シャープの4Kレコーダー「TU-UD1000」のみとなっている。現時点でChannnel 4Kを観る場合、この製品を使用することになるわけだ。なお、2014年秋には、ソニーもChannel 4Kに対応したチューナーを発売予定だ。

TU-UD1000にはスカパー!ICカードが付属しており、所定の申し込みを行えばChannel 4Kの受信が可能だ。TU-UD1000はChannel 4Kだけでなく、スカパー!プレミアムのチューナー、地上/BS/110度CSデジタルチューナーも内蔵している。アンテナはスカパー!プレミアムサービスで使用されているものなので、プレミアムサービスに加入しているユーザーは新たに設置する必要はない。4K対応テレビを既に持っていて、スカパー!プレミアムサービスにも加入しているという場合、出費は最小限で済むのだ。

このようにすれば、家庭でChannel 4Kを体験することができるが、それ以外にもその4K画質を確かめる方法はある。もっとも手軽な方法は、量販店の店頭で視聴することだ。シャープによると、2014年7月時点で約2,000台のTU-UD1000を店頭に設置しているという。ある程度規模の大きな家電量販店ならば、その映像を体験してみることが可能だろう。

○試験放送はいつまで? 機材は試験放送後も使えるの?

Channel 4Kは、あくまでも試験放送だ。NexTV-Fによると、4K放送の本サービスを行う事業者がある程度増えてきた段階で、試験放送はその役割を終えることになるという。

現在、複数の事業者が4K放送への参入について検討しているとのこと。NexTV-Fでは、4〜5年といったスパンではなく来年度ぐらいにも、本放送への移行が起こり得るとしている。なお、Channel 4Kの視聴環境は、本放送がスタートした後もそのまま利用できる。

○10月には4KのVODサービスもスタート

Channel 4K以外にも、4Kの放送やVODサービスがスタートする予定だ。NTTぷららでは、4K映像のVODトライアル配信を4月8日よりスタート。さらに、6月27日より、商用の光回線を利用した4K映像のIP放送の配信トライアルを実施している。これらは商用回線を使用したもので、店頭などでのデモンストレーション用。一般ユーザー向けではない。しかし、2014年10月には、一般向けのVODサービスもスタートする予定となっている。

NTTぷららの4K映像VODサービスを利用するには、4Kテレビのほかに、ひかりTVの4K VODに対応したチューナーとHEVCデコーダーが必要になる。

シャープが6月に発売した4K液晶テレビ「AQUOS UD20」シリーズには、ひかりTVの4K VODに対応したチューナーとHEVCデコーダーが内蔵されており、光回線とひかりTVへの契約のみで、4K VODサービスを利用可能だ。

次回は、AQUOS UD20とTU-UD1000を使用してのChannel 4K視聴の感想と、4K映像の持つ意味について話を進めていきたい。

(村田修)