「映画 怪物くん」 監督:中村義洋 脚本:西田征史 出演者:大野智(嵐)、松岡昌宏(TOKIO)、八嶋智人、川島海荷(9nine)、上島竜兵(ダチョウ倶楽部)、チェ・ホンマン、濱田龍臣、上川隆也、北村一輝、稲森いずみ、鹿賀丈史

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今夜の金曜ロードSHOW!は『映画 怪物くん』だ。
キャストはTVドラマ版に続いて、嵐の大野智(怪物くん)、八嶋智人(ドラキュラ)、上島竜兵(オオカミ男)、チェ・ホンマン(フランケン)らが登場する。

あらすじはこうだ。怪物くんは新たな王になることを国中から反対され、かんしゃくを起こす。怪物ランドを飛び出し、行き着いた先は “カレーの国”。伝説の勇者と間違われ、ピラリ姫(川島海荷)の誘拐騒動に巻き込まれる。国の乗っ取りを画策する権力者ヴィシャール(上川隆也)は、じつは怪物ランドからやってきた“岩石男”が人間に化けている。その背後には宿敵・デモキン(松岡昌宏)やデモリーナ(稲森いずみ)も現れ、それぞれの思惑が入り乱れる。

監督は中村義洋。中村監督といえば、映像化不可能と言われた伊坂幸太郎の原作を映画化した『アヒルと鴨のコインロッカー』(2007)で一躍注目を集めた人である。同じく伊坂作品の『フィッシュストーリー』(2009)や『ゴールデンスランバー』(2010)、海堂尊原作の『チーム・バチスタの栄光』(2008)、『ジェネラル・ルージュの凱旋』(2009)の映画化も手がける。

中村監督は原作のひもときかたが抜群にうまい。
主役はもちろん、脇役のキャラの魅力を的確にすくいあげる。遊びを盛り込みながら、張り巡らされた伏線を丁寧に回収し、大団円に導く。

これまで、何度も中村監督の“原作もの”に驚かされてきた。
今回の『映画 怪物くん』でも、やっぱり驚かせてくれるだろうか。
映画を見る前に期待しすぎると、ガッカリすることが多い。
ましてや、漫画やアニメで親しんできた作品の実写化ともなればなおさら。
「まあ、アニメと映画は別ものですから」と、自分に言い聞かせることになるのかどうか。

おっかなびっくり、DVDを入手して観た。
うわあ、なんだ、これ。
すごいな、おい。

主役の大野智もさることながら、脇を固めるキャラクターたちのチャーミングなこと!

中村監督はぴあ関西WEB版に掲載されたインタビュー)の中で、次のように語っている。
“『チーム・バチスタの栄光』(2008)や『ジェネラル・ルージュの凱旋』(2009)の頃から、登場人物全員をたたせるのがすごく楽しいんですよね。そうするためには登場人物たちに感情移入することが必要になってくるんですが、どうしてもひとりひとりの背景を掘り下げてしまうんです”

ヴィシャールは怪物ランドでの怪物くんの横暴な言動を恨み、人間界の征服を企む。
デモキンは自ら手にかけたデモリーナを復活させたくて必死。
敵には敵の事情があり、シンプルな勧善懲悪では測れない。
そして、作品を通じて、繰り返し語られる“ワガママ”の意味。

中村監督は前述のインタビューで、こうも語っていた。
“僕は、深刻なことを深刻に伝えてもしょうがないと思っているので、深刻なことこそ笑いで表現することが好きなんです。この映画は全体をとおしてそれができたから、大野くんが、「俺は怪物ランドのプリンスだぞ」と叫ぶ台詞がすごく心に響くんだと思うんです。”

子ども向けの作品とあなどるなかれ。
わたしは途中で、うるっと来ること2回。
観終わった後、「どこでグッと来た?」「誰がいちばん好き?」なんて話をするのも楽しそうだ。いいなあ、これから観る人! おすすめです。

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(島影真奈美)