『アラフォー男子の憂鬱』(日本経済新聞出版社)。若手論客と呼ばれて来た著者たちももうアラフォー。彼らが楽しみながらも真面目に語るアラフォー論だ。タイトルに「男子」とあるが、アラフォー女子の共感も呼んでいるという

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「四十にして惑わず」
孔子がそう言ったの紀元前500年ごろ。それから2500年以上。人類は進歩を遂げ、孔子ほどの賢人でなくとも40歳になると惑わなくて済むようになったのだろうか。

「かなり惑い易い状況にあるというのが実態ですね」
そう言うのは人材コンサルタントであり、自身も来年40歳になるアラフォーの常見陽平さん。

「今年40歳になった1973年生まれの人は、第2次ベビーブーマーのピークで人数が多いんです。つまり団塊ジュニアのアラフォー世代は、ずっと厳しい受験戦争にさらされてきました。そしてようやく大学に入ったと思ったら就職氷河期に突入して大変な思いをしています。社会に出てからも上にはやたらと元気に頑張っているバブル世代がいて、下には物心ついた時から不況で、今までのルールにまったく囚われないまったく違う価値観を持った若い世代が控えていて、板挟みで宙ぶらりん感があるのがアラフォー世代なんです」

自分たちの世代の役割が不明確で、先が見えず惑いがちなのが今のアラフォーだと常見さんは言う。
そんなアラフォー世代へのエールとして、常見さんが育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささんと一緒に編著した『アラフォー男子の憂鬱』(日本経済新聞出版社)が12月10日に発売された。

「おおたさんの他にも消費社会のライフスタイルに詳しい人気ライターの速水健朗さんや、若者の雇用に詳しいフリーライターの赤木智弘さんにも参加して頂き、アラフォー世代について語っています」

同書はアラフォー世代である4人の対談に加え、それぞれの著者の寄稿で構成されている。「憂鬱」という言葉が入るヘビーなタイトルとは裏腹に、往年のCM、ヒット曲、ゲーム、トレンディードラマ、バンドブームなどの固有名詞が次から次へと飛び出し、アラフォーなら思わずニヤっとしてしまう。と同時に人気の論客の集まりだけあって、消費、雇用、インターネット、教育などに言及した論考は現代社会におけるアラフォー世代論にもなっている。

「アラフォーの40年間の喜怒哀楽が詰まっているような本にしたかったんです」(常見さん)

ガンダム、ザ・ベストテン、ひょうきん族、オールナイトニッポン――。アラフォーど真ん中の筆者の琴線に触れるテーマのオンパレードに何度も膝を打ちながらどんどんページをめくっていってしまったが、それぞれの話題があまりにもピンポイントにアラフォー世代に絞られている。アラフォー以外の人が読んでどこまで共感を得られるのだろうか。

「前後2歳くらいの同世代に語りかけることにこだわって書きました。彼らが読んで気持ちが楽になったり、『色々大変でも、しゃぁねぇー、がんばるか』という気持ちになってもらえれば嬉しいです。他の世代の共感はあきらめてます(笑)」

ではふたつの個性的な世代に挟まれたアラフォー世代は、どのような気構えで”憂鬱”を乗り切っていけばいいのだろうか。

「団塊ジュニアは『最後のマス』とも呼ばれている世代で、一学年200万人近くいます。同じようなテレビを観たりして育った価値観の近い仲間が大勢いますから、たとえば同世代に向けてビジネスを始めても成立します。みんなで緩やかに手をつないでいってがんばっていこうぜ、という気持ちでいると楽になれるのではないでしょうか」

不惑の域にまで達していないアラフォー世代は、まずは本屋へ!
(鶴賀太郎)