24年前のセナのレースがいま”光と音”で蘇る!見るものを圧巻する映像の力。

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■世界記録を出したセナの走りを音と光で再現

 1994年のサンマリノグランプリの事故で命を落とすまで、F1界の第一線で走ってきたアイルトン・セナ。1988年から92年にかけてHONDAのエンジンを搭載したマクラーレン・ホンダで走り、世界を席巻しました。

 中でも、1989年に世界最速ラップを叩き出した鈴鹿サーキットのレース「第15戦日本GP」はマクラーレン・ホンダのセナの伝説として、当時のF1ファンの心に強烈に印象に残っているはずです。

 「Ayrton Senna 1989」プロジェクトは、HONDAがその歴史的なレースの走行データをもとに、世界最速ラップ1周分のエンジン音を再現。さらに実際の鈴鹿サーキットのコース上にスピーカーLEDライトを設置して、マシンの軌跡を光とエンジン音で表現するプロジェクトを企画しました。

■技術者の情熱と妥協を許さないセナが生んだ世界記録

 このプロジェクト実現の背景には、HONDAの「テレメントリーシステム」と呼ばれる技術の存在があります。

 これは、F1マシンのエンジン状態、回転数、速度、スロットル開度、ギア等、あらゆるDATAを詳細に記録する技術です。この技術はHONDAの技術者たちの”走っているときにすぐにその状態を知りたい”という強い思いから開発され、それらの詳細なDATAをもって、技術者たちは“コンマ一秒早くする”ことを追求しました。実際に、セナがHONDAエンジンを搭載するマクラーレンで活躍した1980年台後半、HONDAはこの技術で世界を席巻しました。

 一方、当時既に16戦中13PP(予選1位)をという史上最多記録を打ち立てていたセナもまた、単にマシンを乗りこなす“ドライバー”としての存在ではなく、このHONDAの技術力に大きな影響を及ぼしていました。

 ピットでスタッフが点検しても気付かないようなエンジン内部のトラブルまでレース中に気付いたという逸話が残ったり、元ホンダ総監督である桜井淑敏氏に「セナは99.99%まで限界点を感知することができる」と言わしめるまで、セナのマシンに対する感知能力は高く、「セナが妥協を許さない人だったから、エンジニアもそれにつられて妥協をしなくなる。非常にいい関係だった(モータースポーツジャーナリスト川井一仁氏)」とセナとホンダの緊張感のある相思相愛の関係が伺えます。

 HONDAの技術者たちのこだわり、セナのテクニック、そしてセナとHONDAの関係性。その3つが揃ってこそ、1989年、鈴鹿でのあの走りにつながったのです。

■そこに言葉はない。見るものを圧巻する映像の力

まだ観客が誰もいない静まり返った鈴鹿サーキット。
全長5807メートルのコース上並べられた、スピーカーLED

鈴鹿での伝説の走りの再現を試みた「Ayrton Senna 1989」プロジェクト。
それは、当時の走りの記録の再現ではなく、セナの想い、HONDAの想い、ファンの想い、そんな記憶を再現しようと試みているようにも感じます。

【実際の映像はこちら】

「鳥肌が立った!ゾクゾクする!何だ?この感覚は!」「セナの魂が見える(;_;)」「セナはまだ生きてる! しかも当時と変わらない走り!」「あかん、涙が止まらん」・・・。

 こんなメッセージが国内のみならずセナの故郷ブラジルや世界各国からも寄せられ、YouTubeでの再生回数は175万回にも上っています。
余計な演出を使わずに光と音だけでシンプルに演出された動画が、まさにファンの熱い記憶を呼び覚まし、あの日の感動を再び蘇らせたのです。

■感動とともにHONDAの技術力がひしひしと伝わる

 セナと技術者の熱い思いのぶつかりあいの中で改良され、あの日のセナの走りを支えていた「テレメントリーシステム」は現在、走行データでドライブをデザインする「インターナビ」というカーナビゲーションシステムの中に息づき、すべてのドライバーに提供されています。今回の「Ayrton Senna 1989」プロジェクトもまた、その特設サイト内で展開されています。

 セナとHONDAに熱狂した世代にも、セナを存在しか知らない世代にも、“音と光”という五感を直接刺激する表現でクルマの魅力を伝えようとしたこのプロジェクトは、技術にこだわり続けきたHONDAならではの表現であり、2015年、F1に復帰するHONDAの未来への意気込みすらひしひしと伝わってくるようです。

[参考]
Ayrton Senna 1989
http://www.honda.co.jp/internavi-dots/dots-lab/senna1989/

HONDAニュースリリース                                
http://www.honda.co.jp/news/2013/4130725.html