野村氏は、昨年限りで3年間の契約満了を理由として楽天名誉監督の座を退いている。

 楽天関係者が話す。

「延長交渉の過程で野村さんサイドは、報酬無料でもいいから名誉監督として残してほしいとの主張をしたといいます。その肩書が付くと付かないでは、講演のギャラが違うとの噂がある。ところが、昨年8月に就任したばかりの立花球団社長が、ケンもホロロに突っぱねたそうです」

 効果があったかはともかく、野村氏が楽天名誉監督だったことは、球団への罵倒を封じる“口止め料”の意味合いがあったとも言われてきた。足かせが取れたことで、楽天に対する野村氏の舌鋒がより鋭くなることは明白だ。

「ただでさえ、あまり理論的とは言えない星野監督、田淵前ヘッドとは距離があったようで、名誉監督だというのに、シーズン中の訪問を打診されても、『何で、そんなことをしなくちゃいけないんだ』と拒むことがあったといいます。星野監督批判が大幅に解禁されるのかと思ったやさき、盟友である山本監督にまず矛先が向いた印象です」(前出・スポーツ紙デスク)

 08年、星野、田淵、山本の3氏が首脳陣として勢ぞろいした北京五輪の惨敗時にも野村氏は、

「なかよしグループにした時点でダメだと思った」

 と、緻密な野球をしない首脳陣に批判的なコメントをしていたものだ。

 そして今大会の組閣にも、野村氏を刺激する人物が見え隠れする。

 東尾修投手総合コーチ(62)は、86年の日本シリーズ、西武対広島の最終戦で、現役引退する山本監督の胴上げに敵チームで唯一参加したほど気心の知れた仲であり、野村氏が嫌悪する「なかよし内閣」のにおいが漂うのだ。そればかりか、野村氏と東尾コーチ自体にも因縁があった。

 2人は97年の日本シリーズ、ヤクルト対西武で監督として対峙したが、シリーズ前から野村氏が、

「西武時代にバッテリーを組んでた感じで言えば、勘と根拠のない野球をする」

 などと、一方的に挑発しまくったのである。

「東尾監督は野村監督の口撃にただ耐えるのみでしたが、シリーズを前にヤクルトの主力・飯田が骨折し、『バチが当たったんだ』と言ったのが唯一の反論だったと思います。挑発が高じた野村監督は西武の某コーチについて『チ○ポコに真珠が入っとる』などと暴露して、本人を激怒させるほどエキサイトしたシリーズでした。翌年、横浜との日本シリーズに臨んだ東尾監督は、敵将・権藤監督と親しかったため、そろってシリーズ前に番記者たちを集めて中華街で乾杯。野村監督に当てつけるかのように、華やかなシリーズを演出したものです」(スポーツライター)

 浩二ジャパンには、与田剛投手コーチ(47)や立浪和義打撃コーチ(43)といった球界きってのプレイボーイたちもいて、ますます野村氏を刺激しそうだ。