トレンド総研(東京都渋谷区)は2012年12月26日から13年1月7日にかけて、「働くママ」を対象に「理想の住まい」についての調査を行った。(画像は「トレンド総研」提供)

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 トレンド総研(東京都渋谷区)は2012年12月26日から13年1月7日にかけて、「働くママ」を対象に「理想の住まい」についての調査を行った。東京証券取引所グループは2月、東証1部上場企業のうち、女性が活躍する企業を選出し、「なでしこ銘柄」として発表する予定だ。今後も働く女性が増えていくと考えられることから、「働く女性」、「働くママ」は商品開発などにおいて、重要な位置を占めると考えられる。(画像は「トレンド総研」提供)

 調査開始にあたって、世代・トレンド評論家として活躍する牛窪恵氏に、「『働くママ』にとっての住まい選び」のポイントを聞いた。

 牛窪氏によると、まず重要なのは、職場やターミナル駅、空港などに、住まいが近いなど「職住接近」だ。子育てなどに追われるだけに、通勤などにかける時間は削減したい。出張などを考えれば、ターミナル駅や空港へのアクセスも良好であることが望ましい。

 近所づきあい、“パパ友”、“ママ友”など、「コミュニティ」を作りやすい環境も大切だ。仕事をしながらの子育ては、相当な“難事業”だ。自分だけではどうにもならないこともある。日ごろから情報交換ができ、いざという時にはアドバイスしてくれたり手を差し伸べてくれる“パパ友”、“ママ友”は、実にありがたい存在になる。

 次に、「周辺施設」の問題だ。近くに保育所や幼稚園があることはもちろん、いざという時に頼りになる医療施設があることも大切。公園などの緑が多いことは、子どもの発育面への好影響だけに留まらず、コミュニティ形成の面でも有利に働く。

 「働くママ」にとって、仕事で帰りが遅くなってしまうのは、よくある悩みだ。したがって、コンビニエンスストアや深夜営業のスーパーの存在も、助かるはずだ。

 マンションなど集合住宅に住む場合には「共有設備」も大切なポイントがある。「働くママ」にとって、意外に大変なのがごみ捨てだ。居住地域に「決まった曜日の決まった時刻までに、既定のゴミ捨て場に定められた形で捨てなければならない」というルールがあると、負担はかなり増大する。

 マンションによっては「いつでもごみ捨てが可能な『ごみステーション』」を設置している場合がある。「働くママ」にとっては大助かりだ。ごみ捨ては夫の仕事である場合も多いが、「お父さんがごみ捨てを忘れた」という些細なことでストレスを増やしてしまうこともない。

 「宅配ボックス」の有無も判断のポイントになる。水やおむつなど、重かったりかさばる品の購入はインターネットで購入する人が増えているが、「働くママ」にとって、商品受け取りのタイミングは悩みの種になる。「昼間に宅配ボックスに入れておいてもらう」ことができれば、大助かりだ。

 トレンド総研が実施したアンケートでは、東京都内在住の30代の女性会社員を対象に、「住まい」についての考えを聞いた。理想の住まいを考えた際に、「住まい選びにおいて重要だと思うポイント」を複数回答式で選んでもらった。

 最も多かったのは「家賃」の85%。その他は「住居内の充実度」(76%)、「最寄り駅までの距離・時間」(71%)、「路線や駅、エリアなどの立地」(67%)、「周辺施設」(64%)、「コミュニティ」(57%)、「セキュリティ」(44%)、「共有設備」(32%)だった。

 牛窪氏が説いた「住まいを取り巻く環境」における4つのポイント、「職住近接」、「コミュニティ」、「周辺施設」、「共有設備」については、回答者は少なくはなかったものの、住まい選びにおける優先度としては、後回しにされがちな傾向があるようだ。

 「周辺施設」について、「近くにあってほしい」と思う施設を複数回答で尋ねたところ、最多は「医療施設」(78%)だった。その他には「ターミナルポイントにアクセスしやすい駅」(71%)、「24時間営業、深夜営業のスーパーマーケット」(70%)、「公園」(69%)、「コンビニエンスストア」(69%)、「薬局・ドラッグストア」(67%)、「保育園、保育所、託児所」(59%)が並んだ。

 「レストラン等の外食店」は35%、「フィットネスクラブ」は11%、「フリーマーケットなどのイベントスペース」は5%だった。

 「保育園、保育所、託児所」については、該当世代の子供を持つ人に限定すれば70%で、上位回答に匹敵する値になった。牛窪氏が例示した「医療施設」、「深夜営業のスーパーマーケット」、「公園」、「保育園、保育所、託児所」はいずれも7割前後の人が選び、住まいの近くにあってほしい「周辺施設」として、多くの「働くママ」が重要性を認識していることが分かった。

 一方で、「コミュニティ」関連の施設をみると、「公園」を選んだ人は69%と多かったが、「フリーマーケットなどのイベントスペース」は1けた台だった。

 「共有設備」については、牛窪氏が挙げた「ごみステーション」と「宅配ボックス」について「理想の住まいを考えた際に、重要だと思いますか?」と聞いた。

 「ごみステーション」を「重要だと思う」と回答した人は26%、「宅配ボックス」は21%だった。いずれも「周辺施設」と比較すると、重要性の認識度は大きく下回った。

 トレンド総研によると、今後は「働くママ」が現在以上に増えるので、マンションなど集合住宅において「ごみステーション」や「宅配ボックス」の「共有設備」の有無について関心が高まっていく可能性があるという。(編集担当:中山基夫)