では、危険な水の飲み方とは何か。浦上院長の話によると、デスクワークや家事など一般的な生活を送っているときは、ごく自然に1日に1.5〜2.5リットルの水分が失われるという。この消失した水分は一般的な食事を摂っているだけで補うことが出来る。成人だとお茶やコーヒーなどの飲み物で1.5リットル、ご飯や野菜、魚、肉などの食物に含まれている水分で1リットル、それに炭水化物、タンパク質、脂肪などの栄養に生成している水、つまり“代謝水”もあるので補うことが出来るという。
 だが暑い日などは、汗もかき、ノドの渇きを覚え、飲み物(水)が欲しくなる。その場合でも、1〜2リットルをこまめに摂るだけで済む。目安はティーカップ1杯(約150cc)程度を1〜2時間ごとに摂るのが理想的で、水分はそれだけで十分に満たされるはずだ。

 ところが、人の体には目に見えるメジャーは備わっていない。その時の状況や感覚で、水分の過剰摂取をついついしてしまうため、さまざまな害(症状)が生じ、医療機関に駆け込む人が増えている現実がある。
 「患者さんの一例を出しますと、ごく普通の中年サラリーマンの方が、速足で歩くと動悸がして息苦しいと訴えてきた。診察すると不整脈の症状があるので、問診を続けていきますと、水の摂り過ぎと判明しました。暑いので氷を入れた冷たい水を一気状態で飲んでいたそうです」(浦上院長)

 本来、飲んだ水は小腸で体内に吸収され、血液として体内を循環し、最終的に尿として排出される。それが、一気に大量の水を飲んだり、何回も必要以上に飲んだりすると、循環血液量が一時的に増える。その増えた血液を体内循環させるのに、心臓は通常以上の力で働き続け、全身にくまなく行き渡るよう血液を送り続ける作業をする。その結果、血圧が上がり、脈も速まり胸が苦しくなる。これが不整脈の症状で、放置すれば血栓を起こし、心筋梗塞や脳溢血、脳梗塞などの重大な疾患に陥る。
 「こうした疾患の素因として、もうひとつ重要な事は、多量に水を飲み過ぎると、本来の塩分濃度が薄れてしまい、それによって“自発的な脱水”という脱水症状が起きてしまう。これも怖いのです」(大学病院・循環器科医師)
 つまり、猛暑日は汗を多量にかく。発汗で消失した水分を補うために多飲してしまうと、血液(白血球と0.9%の食塩)の塩分濃度が薄まり、それ以上の水分吸収を拒む“飲水停止”状態になる。これを医学的に「自発的脱水」症ともいうが、水分を摂り過ぎると真逆な脱水症を誘発する、信じられないことが起きてしまうのである。

 過剰に摂り過ぎ、バランスを欠いた余分な“悪い水”は、腎臓という器官の働きによって、細胞の外にはじき出す。それが下痢や嘔吐、排尿である。
 「とにかく体内の水分量が多くなると血圧が上昇します。また、寝る前に過剰な水分を摂ると排尿のために目覚め、睡眠が妨げられる。そのことによって脳梗塞などの発症率が高まります。そうしたことを常に考えていてほしいですね」(医療関係者)

 水分補給も、日常的には普通の水でいいが、高温や発汗が多い時には、塩分を含んだミネラル水をお勧めする。
 効果的な食事や入浴、運動などで「腎」を強化し、「余分な水分を出すこと」も大切だ。