全国大会で優勝したことによって、新座片山の"厳しい"指導がジュニア年代の指導者たちから脚光を浴びるかもしれない。だが、チーム発足から33年もの歴史のなかで築き上げてきたものであること、子どもたちの多くは、幼稚園のころからこの環境で揉まれて育ってきているなどのさまざまな背景がある。また指導者のキャラクターによるところも大きい。「強い、結果を残した」からといって、見よう見まねで安易に自分のチームに取り入れることは、とても大きなリスクを伴うことだろう。

 とはいうものの、やはり学ぶべきところも多いはず。埼玉県では、冬に大人用サイズのコートを使った11人制の大会があり、新座片山も参加する。フルコートにすることで、11人制でも8人制と同様にスペースがうまれ1対1の局面での勝負や連携術が磨かれるという。新座片山のサッカーに興味を持たれたのなら、ぜひ、ご自身の目と耳で、その指導・育成方法を確認し、判断されてはいかがだろうか。

■新座片山FC少年団 鈴木慎一監督のコメント
 昨日も、熱を出した子がいて、チーム内にも動揺が走りましたが、「あと1試合だからがんばれ!!」とみんなを送り出しました。

 柏には、とてもスキルの高い選手が集まっています。レベル的には100対5で負けているような状態なので、気持ちで負けていたら勝負になりません。つねに「相手の2倍は走りきろう!」ということを言ってきましたが、決勝では、フォワードも含めて全員で守ることのできるつながりのあるサッカーをすることができました。

 今まで、内容では負けていない試合というのは何回もあったのですが、なかなか勝利という結果に結びつけることができなったので、その部分でも成長したのではないでしょうか。

 子どもたちには、自分たちの長所を活かしたサッカープレーヤーになってほしいですね。すべてのことを上手にこなせる選手なんて、そんなにいませんよね。空中戦が得意な子もいれば、足元のうまい子もいます。全員が同じことできるわけではありませんので、それぞれの特徴である足の速さだったり、フィジカルの強さだったりを試合で存分にアピールして、チームの勝利に貢献できるような選手を目指してほしいです。

(文●山本浩之)
(写真●佐藤博之)