――渡邊さんは6曲目の「どこ」の歌詞も書かれてますが、個人的にはこれは男性の願望であって実際の女性はもっとサバサバしているような印象を受けてまして。カエラさん自身からすると、自分よりはちょっと乙女っぽい?

木村:そうですね。だから「抽象的」と思われていた部分というのは、まず私自身が素直に言葉を吐くことが苦手なのと、妄想好きなので、そこまでハッキリと言葉を言うのって、私の世界観とはちょっとズレてる所が今まではあったと思うんですね。だから、抽象的でも、例えばその歌の中に1行か2行だけ素直な言葉を入れて、そこが読んでいる人に引っ掛かる所になればいいと思って描いていた部分が今まであったんです。だけど、この「どこ」という歌を歌った時に、「やっぱり、この“素直な言葉”というのは素敵だな」と思いました。やっぱり心に響くものが少なからずあるわけじゃないですか。

前回のアルバムが終わった時に、「人に伝えることをメインにして描こう、分かりやすいものを描いていこう」と自分の中で決めた後に、この「どこ」というシングルが来ていたので。自分自身の中に無いものであっても、これに近いものを描いてみることが今の挑戦であって、新しい自分を見付ける一つの方法じゃないかな?と思って。描いていったら、こういうアルバムが出来たというか。だから、妄想というよりはちょっと現実味があるし、ふわふわせずにちょっと地に足が着いている感じがするアルバムだとも思うし。やっぱり人が想像しやすいものを描こうと思ってたので、自分の世界だけにこだわらず、人がふと思うことを私なりの目線で描くことが、この「どこ」との繋がりだったり、今私が出来ることなのかな?と思ったら、こうやってちょっと女の子らしいアルバムができたというか(笑)。

――「どこ」は意外にも初のバラード・シングルとのことで、やっぱりカエラさんは元気でポップなイメージがありますけど、個人的には「Snowdome」とか、こういう静かな曲調もすごく似合う歌声だと思っているので、もっと聴いてみたいですね。

木村:あー、ありがとうございます。よかった!(笑)。

――5曲目の「Butterfly」はすでに「ゼクシィ」のCMソングとしてオンエアされてますが、カエラさんはご自身に置き換えて、結婚観とかイメージはありますか?

木村:まぁ、いつかは…。子供が大好きなので、早く子供を産みたいとは、もう小学生ぐらいからずっと思ってるんですよ(笑)。やっぱり子供=結婚という意識は少なからずありますけど、まだそれよりも子供が最優先になってますね。結婚というものが勇気の要るものだというのは分かっってるので(笑)、まだそのタイミングではない気もするし。でも、逆にそんなことを言ってたら、私ずっと結婚できなそうだなというイメージもあるし。

――妄想で、こんなお母さんになりたりたいとか、こんな子に育てたいとか考えたりは?

木村:ちゃんとしたお母さんになりたいですね。子供は何人か欲しいんですけど、最初に男の子が欲しくて。すごく優しい子がいいですね、やっぱり男の子だったら(笑)。

――シングル「BANZAI」のカップリングであり、7曲目の「HOCUS POCUS」が今回のアルバムタイトルとなっていて。アルバムタイトルは最後に決めたかと思いますが、その理由は?

木村:そうですね。最後に決めました。もちろんアルバムを作っている時にコンセプトを最初から“持たなかった”というのがあるんですけど、“持てなかった”というのもあるんですね。「どこ」のシングルを出して、すごく自分自身に無い部分ではあるけれど、一生懸命に素直な言葉で伝えてみようと思って、ほじくり出して詞を書いていったので、今回はすごく難産だったんですよ。自分でも何を言いたいのか、はっきりと見えてこなかったというか。それで、「どこ」の後に初めて書いた曲が「HOCUS POCUS」だったんですね。なので、そのモードだったり、考え方がものすごく描かれていて。私の心境がすごくそのまま入っている気がしたんですね。かといって、悩んでいることをすごくネガティブに捉えているわけではなくて、明るい未来への可能性は無限に広がっていると思うので、悩みを笑顔に変えて、ポジティブに受け入れていこうという。

――実際に何かおまじないだったり、げんをかついでいることはありますか?

木村:今もミサンガみたいなものを、腕に3つしてるんですけど、お風呂入る時もずっとはめてますね。雑誌の占いとかは、あまり信じないタイプなんですけど(笑)。