前節、ホームでのバルセロナ戦にも破れ、危機的状況に陥るバレンシアだが、同クラブのロナルド・クーマン監督がチームの革新に着手し始めた。同監督は、18日のチーム練習の後に中心選手であるキャプテン、ダビ・アルベルダとサンティアゴ・カニサレスに今シーズンの残りの試合で起用しないこと、移籍先を探すよう伝えたようだ。事実上の戦力外通告である。

 実際、7人もの主力選手を欠く中でスペイン国王杯、レアル・ウニオン・イルン戦、リーガ次節のサラゴサ戦の招集メンバーから両選手を外したクーマン監督。「戦術判断によるもの」と説明したが、それが一時的なものか否かについては明かさなかった。悪い流れを変え、他の選手、特に若い選手にチャンスを与え、チームを良くしていきたいとの考えからであることは容易に想像できる。

「会長の同意の上での厳しい決断だ。彼らは重要な選手だが、次の2試合に招集しないことで問題が起きるとは思っていない」。

 そう説明したクーマン監督だが、この2試合だけに向けての決定でないことはハッキリしている。また、この思い切った決断がロッカールームの雰囲気にも影響を及ぼす可能性も承知の上だというクーマン監督。

「そうなるかもしれない。私を批判する人もいれば、賛同する人もいる。それを受け入れなければならない。人生とはそういうものだからね。しかし、私は自分の道を進んでいくつもりだ。変革が間違っていたかどうかは時が経てば分かるもの。これは一つの船であり、前に進むなら乗り込まなければならない。そうでなければ遅れをとるだけだ」。

 たしかに厳しい決断を下すことも時には必要だが、裏目に出ることもあり得る。クーマン監督の決断がカンフル剤となり、バレンシアは復調のきっかけを掴めることができるのだろうか?

(スペイン通信)