時間を奪われた挙句"手数料たっぷりのゴミ"を買わされる…ホリエモンが「何が何でも絶対行くな」という場所
※本稿は、堀江貴文『やってはいけない 絶対損する金の使い方』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

■割高な商品でお金を吸い取る「格好の狩場」
スマホひとつで振込も投資も完結する。そんな時代にいまだに銀行の窓口に並ぶ人がいる。番号札を握りしめ、じっと順番を待っている。意味不明だ。
銀行の窓口に近づいてはいけない。あそこは銀行が割高な金融商品を売るための格好の狩場である。
銀行の本業は、預金を集めて企業や個人に貸し出し、その金利差で儲けることだ。昔はこれでよく儲かった。そのお金で駅前の一等地に立派な支店を構え、行員もどんどん採用した。
ところが数十年にわたる超低金利によって利ざやは削られ続けた。2024年にマイナス金利が解除され、ようやく金利は上向いている。それでも駅前一等地の賃料、安くない行員の給料、継ぎ足しだらけの古い勘定システムの維持費は残る。景気の良い時代の拡大路線がそのまま重荷に変わったのだ。この莫大な経費を金利差だけで賄える時代はもう訪れない。
■「窓口に来る客」はカモとしか思われていない
だから銀行は手数料ビジネスにのめり込む。金融商品の販売は昔からやっていたが、かつては貸し出しのかたわらの副業だった。でも本業で稼げなくなったいま、背に腹は代えられない。なりふり構わず売りまくるしかないのだ。外貨建て保険、毎月分配型の投資信託、ファンドラップ。名前はいろいろだが、どれも手数料がたっぷりのっかっていて、売れば売るほど銀行が儲かる商品である。
NISAだ、日経平均株価が最高値だと世間が浮かれているいまは、こうした商品の絶好の売り時だ。特に狙われるのが窓口に来る客である。ネットバンキングを使いこなせる人はわざわざ窓口に足を運ばない。いまだに窓口へ来るのは、ネットの手続きに不安があり、対面の説明を求める人たち。つまり銀行員の話をじっくり聞いてくれる客だ。銀行にとってカモなのである。
■あなたの情報は銀行に筒抜け
しかも銀行はあなたの懐事情を知りすぎている。預金残高はもちろん、給料もボーナスも、毎月のカード利用額まで筒抜けだ。学費の引き落としで子どもの成長がわかり、退職金が振り込まれれば真っ先に気づく。だから「お子さまの将来のために」「セカンドライフの資金づくりに」と、人生の節目に合わせたセールストークを的確に打ち込んでくる。これほど営業しやすい相手はいない。
銀行員は丁寧に話を聞いてくれる。身振りも言葉遣いもやわらかい。なにより銀行という看板の信用がある。だから安心してしまう。でも、感じの良さと、すすめてくる商品の中身は別物だ。愛想がいいのには理由がある。あなたから抜く手数料がそのまま銀行の収益になり、行員の給料に化けるからだ。客を大事にしていないとは言わない。手数料を運んでくれるカモとして、大事に大事にもてなしているのである。
手数料の高さはそれだけでリスクだ。投資のリターンは誰にも読めない。明日の為替も来月の株価も神のみぞ知る世界である。ところが手数料は違う。買う前から取られる額が決まっている。儲かっても取られる。損しても取られるのだ。だったら手数料は少ないに越したことはない。
■用はATMだけ、銀行員と口をきいたが最後
わたしと共著を出したこともある経済評論家の山崎元さんは「年間の手数料が0.5%を超える商品はまとめてゴミだと思え」と言っていた。わたしもこの意見に大賛成だ。この物差しを銀行がすすめる商品に当てはめてみるといい。合格するのはせいぜい個人向け国債くらいだろう。でも銀行員が国債を熱心にすすめてくることはまずない。売っても銀行はほとんど儲からないからだ。向こうから笑顔で差し出してくる商品に、買っていいものなど最初からないのである。
銀行の窓口に行くと、割高な商品を売りつけられ、延々と待たされて時間まで奪われる。店内は混んでいるので風邪をもらってしまうかもしれない。銀行窓口はまるごとリスクなのだ。

銀行そのものは使えばいい。給与の受け取り、公共料金の引き落とし、振込。インフラとしては便利だ。でもお金の相談相手にしてはいけない。つき合いは徹底的にドライでいい。
窓口に並ぶな。銀行員と口をきくな。どうしても行くなら、用はATMだけで済ませろ。あなたが銀行の養分になる義理などどこにもない。
■日本人が大好きな「がん保険」の闇
がんは、日本人にとってとても身近な病気だ。国立がん研究センターの統計でも、生涯でがんと診断される確率は、男性で6割を超え、女性でも5割に達する。要するに2人に1人はがんになる。
だから、がん保険が大人気だ。日本のがん保険(がん保険・がん特約)の加入者数は約5000万人ともいわれる。がんは、ひと事ではない。わが身にいつ降りかかってもおかしくない。自分のため、家族のため、がん保険に加入しておいたほうがいい。みんなそう考える。
でも、がん保険に入るのは本当に得策なのか? ノーだ。断じてノーだ。がん保険に入ってはいけない。がんは身近な病気だ。多くの人がかかる。それは揺るがぬ事実だ。そしてその事実はもうひとつ別の揺るがぬ事実を裏づける。がん保険は加入者にとって割に合わない仕組みであるという事実だ。がん保険に入るのは損なのだ。
■自動車保険、火災保険との「決定的な違い」
そもそも保険とは、めったに起きないアクシデントに対するリスクヘッジである。たとえば火事や交通事故の発生確率はさほど高くない。でも万が一、発生した場合の損害は数百万円、数千万円、へたをすると数億円に及ぶこともある。あなたはそれを賄えるだろうか。無理だ。個人の経済力で対処できる事態ではない。

だから、みんなであらかじめお金を出して支え合う。協力して保険を施すのだ。火事や自動車事故は頻発するアクシデントではない。ごく一部の人に降りかかる事態である。ゆえに1人あたりの保険料(掛金)は少額で済むわけだ。火災保険や自動車保険は合理的なリスクヘッジといえる。
かたや、がんは2人に1人がかかる。つまり多くの人に治療費が発生する。となると、1人あたりの保険料はとうぜん高くつく。たくさんの保険料を集められる保険会社にしてみればいい商売だ。保険会社は儲かり、加入者は割に合わない出費をせっせと繰り返す。数ある保険のなかで、がん保険のコスパは最悪だ。とびきり割高なのだ。
■日本には「高額療養費制度」がある
しかも、その割高ぶりは今後ますますひどくなっていく。日本人の平均寿命は2040年には男性が85歳、女性が90歳近くに達する見込みだ。がんは年を取るほどかかりやすくなる。高齢者が増え、若者が減れば、とうぜん保険料は増額されていく。
がん保険に大したメリットはない。そんなものより、日本には優れた公的医療保険制度がある。がんになって高額な治療費がかかっても、一定額を超えると「高額療養費制度」が利用できる。たとえば年収約370万~770万円の人なら、1カ月の医療費が100万円だったとしても、自己負担額は約8万7000円で済む。
ちなみに、2026年8月から2027年8月にかけて、高額療養費制度の自己負担限度額は段階的に引き上げられる。所得区分によって差はあるが、最大で約38%増となる。
保険業界は「公的な支えが弱くなる。だからがん保険を」という売り文句を流すだろう。でもしっかり算盤を弾いてみてほしい。自己負担額が増えたところでせいぜい十数万円だ。何十年も高い保険料を払い続けるほうが明らかに損である。
■がん保険に入るお金で貯金・投資をすればいい
「公的保険だけでは足りないかもしれません」「治療が長引いたらどうしますか」「働けなくなったら生活費はどうしますか」
保険会社はそう煽る。あなたにがんの恐怖を植え付け、万が一の備えを迫る。それが彼らの販売戦略だ。真に受けてはいけない。がん保険に入ったからといって、がんになる可能性が減るわけではない。まして、がんが治るわけでもないのだ。

がんになったらどうしよう。治療費だけじゃない。通院の交通費もかかるし、細々した日用品も買いそろえる必要があるかもしれない。休職によって収入も減ってしまう。それで家族を養っていけるのか--。考え出すと不安は尽きないだろう。
でもその不安をいちいち保険で帳消しにしようとするのは間違いだ。不安の数だけ保険料は際限なくかさんでいく。あなたの生活を圧迫するのは、ほかならぬその保険料なのだ。
がん保険にお金を使うくらいなら、こつこつ貯めておくなり、堅実な運用に回すなりしておこう。不運にもがんになってしまったら、公的な保障を受けつつ、足りないぶんはそこから払えばいい。がんにならなければ、そのお金はそっくりそのまま、あなたや家族のものとして残る。
がん保険に入るな。あまりに非効率で不合理なリスクヘッジなのだ。
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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年10月29日、福岡県生まれ。実業家。SNSグループ株式会社ファウンダー。現在はロケット開発や、アプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙する等、様々な分野で活動する。会員制オンラインサロン『堀江貴文イノベーション大学校(HIU)』(http://salon.horiemon.com)では、500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開している。著書に『小学ゼロ年生 7歳からの進路相談』(小学館集英社プロダクション)『体力が9割 結局、動いた者が勝つ』(徳間書店) 『僕が料理をする理由 AI時代を自由に生きる40の視点』(オレンジページ)など多数。その他詳細はhttps://zeroichi.media/
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(実業家 堀江 貴文)
