「射精回数が多いほど前立腺がんリスクが低下」「更年期症状が軽減」…最新研究でわかった「セックスと健康」の意外な関係
前立腺がんのリスクを減らせる
がん疫学を専門とするハーバード公衆衛生大学院教授のローレライ・ムッチ氏がいう。
「昨年12月、射精する頻度が高い男性は、頻度が低い男性と比較して、前立腺がんのリスクが低いことがハーバード公衆衛生大学院の研究で再確認されました。
重要なのは、性交だけでなく、自慰も含めて、『1ヵ月に何回射精するか』を調べたということです。
『射精には前立腺内に蓄積した炎症を起こす物質や、身体にとって好ましくない物質を外に排出する効果がある』という仮説が考えられています」
歳を重ねるにつれ、性を語るにも実践するにも、恥ずかしさが付きまとうようになった人も多いのではないか。
だが、性を正しく理解して実践し続ければ、人生が豊かになるだけでなく、健康にもなれるという研究は、近年多数報告されている。
ここでは、国内外の性の最新研究を紹介しよう。
自慰行為で更年期障害が軽減された
冒頭のような性と健康との相関については、女性にも当てはまるという。
富永ペインクリニック院長の富永喜代氏が語る。
「昨年に米国のキンゼイ研究所が発表した研究では、40~65歳の女性1500人のうち36・2%が、『自慰行為で更年期症状が軽くなった』と回答しています。
また、『不眠が解消された』『入眠しやすくなった』という結果も出ています。これは、性的な快感によって、βエンドルフィンなどの鎮静作用を持つ物質が分泌されることで、不眠やストレスが解消されたり、痛みが緩和されたりするためだと考えられます」
ドイツのセクシュアル・ウェルネスブランドのウーマナイザーなどが'20年に行った調査では、「自慰行為によって生理痛が緩和した」という結果も報告されている。性行為や自慰行為には、「快楽」を得るだけでなく、興奮を司る交感神経からリラックスを司る副交感神経へと自律神経を切り替え、脳と身体のリズムを整える効果があるのだ。
近年の研究では、性行為における男女の価値観の相違が、思いのほか満足感に影響していることも明らかになった。
男性は女性のオーガズムを過大評価しがち
'18年、米・ブリガムヤング大学では、1683組の新婚夫婦を対象に、①性行為で頂点に達する頻度の「自己申告」②パートナーが頂点に達する頻度の「認識」について検証した。その結果、①では夫は87%、妻は49%が安定して達しているとの結果が出た。
一方、②に関してはじつに43%の割合で、夫が妻の頂点に達する頻度を誤認していることが判明したのだ。半数近くの夫が、妻のオーガズムを「過大評価」していたことになる。
さらに'24年には米・インディアナ大学で、男女のオーガズムに達する原因の違いについての調査結果が開示された。
その結果、女性は男性に比べ「相手との親密さ」や「パートナーへの安心感」がオーガズムに達する頻度につながりやすいという報告がなされた。
体位に関しては、正常位がもっとも心地よいと思っている人が多いかもしれないが、本当にそうだろうか。
オーガズムに達しやすい条件は「顔が見えるか」
チェコ・カレル大学が'20年に行った調査では、13の体位のうち、もっともオーガズムに達しやすいのは対面座位や騎乗位だという結果が報告されている。
「2つの体位に共通するのは、『相手の表情が見える』『自分で好きな部位を当てられるよう身体の角度を調整できる』ということです。
女性がイクための絶対条件は、副交感神経が優位になってリラックスできているかです」(前出の富永氏)
ちなみにもっともオーガズムに達しにくい体位は、表情の見えない後背位。気持ちを伝えるためにも、相手をしっかり見つめることが大事だ。
【後編を読む】「勃たなくなったら終わり」はもう古い…「人生最高のSEXは60代」という驚きの調査結果
「週刊現代」2026年9月28日号より
