【山野 祐介】「寝過ごしたら”詰む”」宇都宮線の終点・小金井…深夜1時、始発まで4時間。想像以上に「逃げ場がなかった」
寝過ごすと危険な駅「小金井」
疲れて乗った終電で運よく座れたものの、うっかり終点まで眠ってしまい、気づけば知らない駅で退路を断たれた状態だった……という経験をした人は少なくないだろう。ちなみに私は山手線で1時間眠ってしまい、上野駅で乗ったはずなのに、起きたらまだ上野駅にいた……ということがある。
とはいえ、首都圏の場合は寝過ごしてしまっても深刻な事態になることは少ない。たいていの場合、駅前にはビジネスホテルやネットカフェ、朝まで営業している居酒屋やカラオケのような施設があり、身に危険が及ぶことはあまりないからだ。
ただし、通勤でもよく使われる長距離路線の中には一部、運行距離が非常に長くなるものもあるため、こうした路線で寝過ごしてしまうと危険度は急上昇する。
このように、「寝過ごすと危険な駅」という文脈でよく語られる駅のひとつが、栃木県下野市にある宇都宮線の小金井駅だ。小山駅の隣駅であり、少し下ると宇都宮駅もある。
着いてしまった場合はどうする?
東京都に住んでいる人には「武蔵小金井駅」のほうがなじみ深いかもしれないが、宇都宮線の小金井駅は1893年開業であるのに対し、武蔵小金井駅は1926年開業。「小金井歴」は栃木の小金井のほうが長いわけだ。
しかもややこしいことに、下野市の旧地名は「下都賀郡国分寺町」のため、小金井駅前には「ようこそ国分寺へ」と書かれた看板もある。酔ってたどりついたら、異世界に迷い込んだように錯覚するかもしれない。
……話が逸れたが、こうした記事で「寝過ごしたら危険な駅」が語られる際は、「その駅周辺がいかに何もないか」をエンタメ的に楽しむ要素が強いと思う。だが、本当に求められているのは「着いてしまったら、現実問題としてどうしたらいいのか?」ということではないだろうか。
土日や祝日の前日なら、寝過ごしても笑って済むかもしれないが、翌日も仕事や学校がある日に寝過ごしてしまった場合、なるべく早く体を休められる「最適解」を見つけて始発まで休む必要がある。それが安価ならなおありがたい。
そこで、実際に終電で小金井駅へ行き、始発までの限られた時間内に最適解を見つけてみようと思う。
最寄りの飲食店までは徒歩3キロ
というわけで23時38分に、上野駅から宇都宮線の最終電車、小金井行きに乗り込んだ。上野駅で乗車したときは、座る席がないくらいの乗車率だったものの、赤羽で大勢人が降りると私も座ることができ、大宮を超えると人はさらに減った。
そして深夜1時3分、電車は遅延せず小金井駅に到着した。小金井駅で降りたのは私含めて4人だったが、うち2人は慌てる様子もなく改札の外へ向かっていった。そしてもう1人の男性は、ホームでキョロキョロと辺りを見渡しながらスマホを操作していた。おそらく、「寝過ごした」のは私とこの男性の2人だけだろう。
ちなみに、Googleマップを開いて「現在営業中」の飲食店やカラオケ店を調べてみたが、最寄りの飲食店は宇都宮方面へ3キロほど歩いた自治医大駅周辺にある「すき家4号下野笹原店」と「ココス自治医大前店」だ。だがココスは2時、すき家は3時に閉まるうえ、自治医大駅周辺にもカラオケやネットカフェはない。徒歩3キロ分の疲労をためたまま、自治医大駅で始発を待つことになってしまうため、選択肢としては現実的ではないだろう。
出費を我慢すれば「小山」へ脱出は可能
まずは改札を出て東口へ向かうが、多くの駅前で見られるコンビニやファーストフード店といったお店はない。周辺にあるのはロータリーと、車でここまで来て電車で通勤する人向けの駐車場があるのみで、夜を明かせそうな建物は見つからない。タクシーやバス停もなく、ここから小山へ脱出するのは難しそうだ。
駅の連絡通路を通って西口へ向かうと、おそらく私のような寝過ごし客目当てのタクシーが数台停まっていた。隣駅の小山は新幹線が停まる駅だ。駅周辺には朝まで営業している居酒屋やカラオケ店、少し離れた場所にはネットカフェも存在する。タクシーを使って小山まで向かえば、出費はあるものの安全に身を休めることができるだろう。
ただし、ここから小山駅までの距離はルートにもよるが8~9キロメートルほど。深夜料金を入れて5000円程度かかる。それに加えて居酒屋やカラオケ店などの料金もかかるため、トータルの出費は7千円から1万円程度になりそうだ。致し方ないところではあるが、寝過ごしの代償としては少し痛い。
また、西口から約4キロメートル離れた場所にはラブホテル「ティンカーベル小山店」がある。ここなら湯船につかったうえ、ベッドで身を休めることは可能だが、タクシー代が2000~3000円程度かかるうえ、宿泊料金も最安の部屋と曜日で7900円かかる。そして、ラブホテルから駅まで4キロ歩くことは現実的ではないため、駅までの戻りもタクシーが必要になる。トータルの出費は1万円を超えそうで、こちらも現実的ではない。
【後編を読む】終電で寝過ごした小金井駅にて始発まで耐える「2640円の最適解」とは…駅の証明写真機では中年男性が眠っていた!
【つづきを読む】終電で寝過ごした小金井駅にて始発まで耐える「2640円の最適解」とは…駅の証明写真機では中年男性が眠っていた!
