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強風の中、駐車場で車のドアを開けたところ、隣の車の持ち主から「ぶつけたのではないか」と指摘された──。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者によると、高速道路の休憩施設の駐車場でドアを開けた際、風にあおられて勢いよく開いたものの、隣の車に接触した感覚はなかったといいます。

相手と一緒に車を確認しましたが、車体には汚れもあり、傷の有無や、仮に傷があったとして今回できたものなのかは判然としませんでした。相談者の車にも明確な接触痕はなかったそうです。

その場では警察を呼ばず、連絡先を交換。相手からは「傷を確認して、金額が分かり次第連絡する」と言われました。

相談者は「可能性があるなら申し訳ない」と謝罪したものの、修理代を無条件で全額支払う約束をしたつもりはないといいます。

接触したかどうかがはっきりしない場合でも、修理代を支払わなければならないのでしょうか。濵門俊也弁護士の監修のもと、解説します。

●「請求された=払う義務がある」ではない

──本人には接触した認識がなく、双方の車にも明確な接触痕が確認できない場合、相手から修理代を請求されたら支払う義務はあるのでしょうか。

相手から修理代を請求されたからといって、当然に全額を支払わなければならないわけではありません。

一般に修理代を求める場合には、車のドアが相手の車に接触したこと、その接触によって傷などの損害が生じたこと、修理費がいくらなのかといった点を、請求する側が主張・立証する必要があります。

ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、目撃者の証言、事故直後の写真、双方の車の傷や塗料の位置・高さなどが証拠になり得ます。

修理工場の見積書も修理費を判断する材料になりますが、それだけで、傷が今回の出来事によって生じたことまで証明されるわけではありません。

今回のように接触の有無自体がはっきりしないのであれば、請求された金額をそのまま支払うのではなく、まず接触の有無や傷との因果関係を確認する必要があります。

また、「可能性があるなら申し訳ない」と謝罪しただけで、直ちに法的責任を認めたことになるとは限りません。

ただし、「私がぶつけました」「修理代は全額払います」などと明確に認めていた場合には、その発言が後の交渉や裁判で証拠の一つとなる可能性があります。

●警察を呼ばなかった場合、どうする?

──その場では警察に届け出ず、後から修理代を請求された場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

まずは加入している自動車保険や共済に連絡し、相手から請求を受けていることや、接触したかどうかについて争いがあることを伝えて相談するのがよいでしょう。

物損事故についても、道路交通法上、事故があった場合には警察への報告が求められています。

ただ、その場で警察を呼ばなかった場合でも、後から相談や届出もできます。保険や共済を利用する際に交通事故証明書などを求められる場合もありますので、加入先にも確認するとよいでしょう。

また、相手から連絡が来ても、すぐに支払いを約束するのではなく、傷の写真や修理見積書などを提示してもらい、保険会社や共済を通じて確認するのが安全です。

相談者側も、自分の車や相手の車の写真、ドライブレコーダーの映像、当日の日時や駐車位置、相手との会話やメッセージの履歴などを保存しておきましょう。

高速道路の休憩施設であれば、防犯カメラに当時の状況が記録されている可能性もありま す。接触そのものに争いがある場合には、当事者同士だけで話を進めず、保険会社や共済などを介しながら事実関係を確認することが重要です。

【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:https://www.hamakado-law.jp/