市場は荒れ模様(C)日刊ゲンダイ

写真拡大 (全2枚)

 ひところに比べると株式市場はどんよりムードだ。日経平均は今年6月下旬に7万2800円を超す史上最高値を更新。「8万円も視野に入った」との声が聞こえていた。ところが、その後は一進一退で6万5000円、6万4000円と水準を下げている。この先どうなるか──不安は尽きないが、一方で「配当狙いの長期投資なら今がチャンス」という見方も強まってきた。

「AIバブル」と「高市トレード」は終焉か? 日経平均株価が連日下落の不穏と気になる今後

  ◇  ◇  ◇

 9月は上場企業(3月本決算)の第2四半期(中間期)決算シーズン。中間配当を実施する企業は少なくない。9月本決算を合わせると、9月末の株主を対象に配当を実施する企業は約2300社に達する。

 新NISAで株式投資をスタートした人などは「配当って何?」と疑問を持つかもしれない。

 基本的にはトヨタ自動車【7203.T】や日立製作所【6501.T】といった個別株を保有すると、1年に1回、もしくは2回(半期ごと)、4回(四半期ごと)と配当金が出る。

 たとえばトヨタ自動車の場合、1株保有していると年間100円(予想)の配当金が出る。9月末(中間配当)と来年3月末(期末配当)にそれぞれ1株50円だ。単元株(最低投資単位=100株)で年間1万円。通常、配当金は業績などの影響を受けるため、年ごとに金額は変化するが、保有し続ける限り毎年1万円程度を受け取れる。ただし、税金が約20%かかるので、手元に残るのは8000円弱だ。

「高配当の銘柄を数社持っていれば、黙っていても数十万円の配当金を毎年得られることもあります。トヨタ自動車株を仮に10単元(1000株)保有していたら、配当金は年間10万円(税金を支払う前)になります。ちょっとした小遣いです」(市場関係者)

2027年3月期の配当合計額は23兆円

 ここ数年、企業は配当金をはじめとする株主還元策を充実させている。「月々10万円、年120万円がず~っと入ってくる毎月配当株投資」(すばる舎)の著書で、経済評論家の杉村富生氏はこう言う。

「上場企業の配当金(2027年3月期、予想)の合計額は23兆円に上ります。前期比14%増。利益率は9%増に過ぎませんから、株主還元をより充実させているといえるでしょう」

 ただ、トヨタ自動車株を100株保有するには約30万円が必要となる。1000株だと約300万円。ちょっと勇気が必要だし、そもそもそんな資金はない……という人は大勢いそうだ。でも、ホンダ【7267.T】だったら17万円前後(100株)でOKだ。配当金は年70円予想(100株で7000円)だから、配当利回りはトヨタ自動車より高いのでお得感はある。

「株式貯蓄という考え方を提唱しています。略して株貯です。少しずつで構わないので、同じ企業の株をコツコツと購入し保有株数を増やしていきます。いつの間にか配当金の額も数万円、数十万円と増えるかもしれません。新NISAを利用した長期投資にピッタリです」(杉村富生氏)

 9月末や3月末は配当金を得られる権利が発生するため、高配当や配当利回りの高い銘柄の株価は高騰しやすい。“高値づかみ”の危険性があるわけだ。

■狙い目は累進配当

 一方、配当金の権利落ち後の株価(10月や4月の初頭)は下落傾向になるケースが多い。長期にわたる“配当金狙い”と決めてかかれば、この時期は買いチャンスだ。

「株価の安い時期に仕込めるのですから、10月初旬は投資にうってつけのタイミングといえるでしょう。配当金の権利落ち後だけでなく、株価が暴落したときは同じく投資の好機。株貯は下がったときに買う作戦が有効です」(杉村富生氏)

 さて、どんな銘柄を仕込めばいいか。これが何といっても難しい。配当金にマトを絞るとなると……。

「連続増配企業を狙う手はあります。毎年、配当金の額をアップさせている企業で花王【4452.T】や三菱HCキャピタル【8593.T】などが代表的です。10年以上にわたり増配を続けている会社は200社ほど。増配、もしくは減額をしていない企業はもっとたくさんあります。累進配当という呼び方をしますが、推計で700社は超えています」(前出の市場関係者)

 そんなにあっては投資対象を絞るのは困難極まりない。どうしたらいいか? 実は日経累進高配当株指数というのがあって、これが参考になる。

 累進配当を10年以上続ける30銘柄を対象にした指数だ。採用銘柄は武田薬品工業【4502.T】やLIXIL【5938.T】、ツムラ【4540.T】、王子HD【3861.T】、野村不動産HD【3231.T】など。

 株貯で配当生活を目指すのも悪くない。株価低迷の今は大チャンス?