玉置浩二&ASKA、福山雅治&稲葉浩志、GLAY&小田和正、EXILE&松本孝弘......長年の歩みと深いリスペクトが交差する共演
日本の音楽シーンで長く活躍してきたアーティストたちが、ジャンルやシーンの垣根を超えて手を結ぶ瞬間。そこには深い信頼と経験が生む特別な化学反応がある。本稿ではベテランと呼べるキャリアのアーティスト同士が生んだコラボレーションを紹介していきたい。
◾️玉置浩二&ASKA、福山雅治&稲葉浩志......長年の交流が生んだ至高のコラボ
最新で話題となっているコラボレーションと言えば、玉置浩二とASKAの共作による「音銀河」だろう。ともに1958年生まれ、玉置は安全地帯のボーカリストとして、ASKAはCHAGE and ASKAのメンバーとして、それぞれ1980年代から圧倒的な歌唱力と表現力で時代を彩ってきた。「音銀河」は2026年3月放送の『玉置浩二ショー』(NHK BS)で初披露され、その反響を受けて9月9日に配信、9月16日にシングルとしてリリースされることになった。この曲はかなり長い時間を掛けて作られたことが番組内で語られていた。12~3年前に玉置が持ってきたカセットテープをもとにASKAが大枠を作り、やり取りを重ねながら長年の交流のなかで完成に至ったのだという。
玉置の迫力に満ちた歌声とASKAのパワフルな情感に溢れる歌声が高め合いながら頂上へと向かっていくようなこの曲。その一方、歌詞は孤高のアーティストたる二人の心情を投影したような、内省的な仕上がりになっている。互いを見つめ合い、鼓舞し合うようなイメージを保ったまま〈愛をうたえばいいのさ〉〈いつもこの世は愛しかないから〉という境地へ辿り着く。異なる世界観を育んできた両者がそれぞれの魂を響かせ合うような、コラボレーションならではのスケール感だ。
こうした異なる世界観の響き合いは、近年の大型コラボレーションにも共通する特徴と言えるだろう。例えば福山雅治と稲葉浩志による「木星 feat. 稲葉浩志」。福山が作曲編曲、プロデュースを務め、稲葉が作詞を担当したこの曲は、2025年公開の『映画ラストマン -FIRST LOVE-』の主題歌として書き下ろされた。福山のピアノを軸にした美しいメロディに、稲葉の力強く包容力のある詞と歌声が重なり、唯一無二のリッチさをもたらしている。
俳優、シンガーソングライターとして幅広い表現を続けてきた福山の艶のある歌声と、B'zのボーカリストとして骨太なスタジアムロックを体現してきた稲葉の爆発的な歌声、二人のキャリアと歌声の特徴を考えれば、かなり意外な組み合わせにも思えるが、それぞれの存在感を際立たせる1曲に仕上がった。二人の交流は、総合格闘技UFCという共通の趣味によって深められたという。こうしたプライベートな関わりもコラボレーションに繋がったのだろう。
◾️憧れの共演と異ジャンルの融合 GLAY×小田和正、EXILE×松本孝弘
ほかにもリスペクトに満ちたコラボレーションがある。GLAYと小田和正の「悲願」がその好例だ。2025年にリリースされたGLAYのデビュー30周年を記念したベストアルバム『DRIVE 2010~2026 -GLAY complete BEST』に収録されたこの曲は、TERU(Vo)が以前から尊敬していたボーカリストである小田との共演を実現したもの。タイトルそのものが示すように、GLAYにとって長年の夢が形になったコラボレーションだ。
キャリアも音楽性もまったく異なると言っても過言ではないGLAYと小田。そこには不可思議な神秘性が宿っている。TAKUROの紡ぐどこかオリエンタルなメロディとTERUの伸びやかな歌声に小田の澄んだ声が加わることで、死生観を描いた歌詞の豊潤さがより広がっている。ここでTERUが小田に寄せた歌唱としていない点も印象的だ。TERUが培ってきたロックボーカリストとしての気迫を存分に発揮し、幾重にも重ねられた小田の歌声との対比を織り成している。
一方、EXILEと松本孝弘による「24karats GOLD LEGACY feat. 松本孝弘」は、さらに異なるタイプの融合だ。EXILEが長年築いてきたストリートカルチャーを背景とする「24karats」シリーズに、B'zのギタリストとして世界的にも評価される松本が参加。公式には、従来の「24karats」の世界観と松本の存在感、そしてEXILEのエネルギーが融合した作品と紹介されている(※1)。
イントロから松本のシグネチャーたる唸りを上げるギターサウンドが響き、普段のEXILEとは異なるモードを見事に印象づけている。このコラボレーションにおいては歌声同士ではなく、「ダンス&ボーカルグループ」と「ロックギタリスト」という異なる文化圏が交差している点でユニークなタッグと言えるだろう。シリーズによって展開される「24karats」という楽曲の一つだからこそ、その歴史に新たな文脈を付与する意義深いコラボレーションとなったのだ。
これらに共通するのは、長年育んできた音楽性の違いを共鳴として提示している点だ。若い世代のアーティストが発展途上のアイデンティティを交差させ合う共演も刺激的だが、キャリアアーティストが築き上げてきた確固たる作風を響かせ合うコラボレーションも面白い。それぞれの歩みを確かめ合いながら、しかし決してなれ合いにはならないプロフェッショナル同士の協働。こうしたコラボレーションでしか生まれ得ない楽曲に、これからも注目したい。
※1:https://exile.exfamily.jp/s/ldh01/news/detail/11162
(文=月の人)

