メルカリにはくら寿司のキャンペーン景品である「ちいかわ」グッズが並ぶ(弁護士JPニュース編集部)

写真拡大

回転寿司チェーン「くら寿司」と大人気キャラクター「ちいかわ」のコラボキャンペーンが、従業員による景品の不正な持ち出し・流出を理由に中止に追い込まれた。

キャンペーン開始前からフリマアプリメルカリ」に景品が出品されていたことから、SNSでは「盗品と知りながら売買を手助けした」として、メルカリに「盗品等有償処分あっせん罪」が成立するのではないかという指摘もなされた。

盗品が疑われる商品に売買の場を提供したフリマアプリ運営会社が、何らかの罪に問われる可能性はあるのだろうか。

「盗品等有償処分あっせん罪」とは?

今回の騒動の発端は、くら寿司のキャンペーン景品である「ちいかわ」グッズが、キャンペーン開始前からメルカリに多数出品されていたことだ。

くら寿司店頭で8月21日に始まった「ビッくらポン!」の景品について、「何皿食べてもオリジナルフィギュアだけが出ない」という不満の声が上がる一方で、メルカリ上では同一人物による全種類セットなどが出品されていた。

さらに9月4日開始予定だった「オリジナル湯呑み」の配布キャンペーンでも、前日から“コンプリートセット”が出品される事態となった。疑ったユーザーが出品者にコメントすると、「父親がくら寿司の店長なんで」という真偽不明の返答があったという話も広がった。

こうした状況を受け、くら寿司は5日に従業員による不正行為があったと認め、コラボの中止を発表。警察相談した。

SNS上では、不正に入手された商品が売買される場を提供したメルカリに対し、「盗品と知りながら売買の手助けをした」として、「盗品等有償処分あっせん罪」(刑法256条2項)に該当するのではないかという指摘が出た。

しかし、刑事事件に多く対応する杉山大介弁護士は、フリマアプリの運営事業者側がこの罪に問われる可能性はかなり低いと指摘する。

「盗品等有償処分あっせん罪」が成立するためには、その品が盗品であることを認識していること(知情性)が必要になるというが、プラットフォーム側が個々の出品物の入手経路まで把握し、盗品と認識した上で売買を「あっせん」したと立証するのは極めて難しいという。

「プラットフォームが何らかの刑罰法規に抵触しないか、法律を学ぶ教室での検討に供するのは面白いですが、現実にそのような捜査が行われることはまずないと言ってよいと思います」(杉山弁護士)

また、杉山弁護士は、盗品等有償処分あっせん罪以外にも、メルカリ側が何らかの犯罪に問われる可能性はまずないとの見方を示した。

法的責任とは別に問われる「場を管理する責任」

一方で、法的に罪に問われる可能性は低いとしても、プラットフォーマーとしての社会的責任は別問題だ。

SNSやニュースサイトのコメント欄には「何件も通報したけど、結局放置されたまま」「不正出品を通報しても全く知らん顔して見て見ぬふりしている」といった批判的な声が数多く見られる。

杉山弁護士は、この点について厳しく指摘する。

メルカリは、これまで転売市場を育ててその利ざやを得てきた、転売行為によって利益を得てきた企業です。そもそも転売問題への対応を期待するのに限界があります。

ただ、今回問題となっているのは、転売よりも明確に悪質な、犯罪行為による取得が合理的に疑われるものについてです。従来、古物市場において、盗品が取り扱われないようにしなければならないというのは、最低限の当たり前の領域ですので、通報しても対応がされなかったといった報告が出てくるだけでも大問題であると考えます。

場を提供して利益を得るものには、その場を管理する責任も負ってもらうべきであり、今回も手軽な取引場所を提供するビジネスが、その負うべき責任を果たしているか厳しく問われてしかるべき場面だと考えます」

その上で、杉山弁護士は転売問題そのものへの法規制についても、踏み込んだ見解を示す。

「いわゆる転売ヤーは、ただでさえ希少なものについて、その商品の供給不足を加速させ、あえて需給を悪化させて利益を得ようとする、経済の効用を害する存在でしかありません。

公共の道路に、勝手にバリケードを作って通行料を取るような行為を、経済学は悪と評価しますし、憲法論からも規制の正当化を根拠づける理屈は立てやすいです。

皆さんの『許しがたい』『転売ヤーは滅ぶべし』という声が、法規制を後押しします。コンサートなどの興行チケットについては、特別法によって転売に一定の対応ができるようになりました。この動きをもっと広げたいですね」

本件についてメルカリの回答

今回の件について、弁護士JPニュース編集部ではメルカリに対し、①現在確認されている「不正に入手された疑いのある出品商品」の件数・削除や出品者への制限措置の実施状況、②利用者らのSNSなどでの意見への受け止め、③今後の対応策強化の有無について質問し、回答を求めた。これに対し、メルカリからは以下の回答が得られた。

「くら寿司様のコラボキャンペーンに関連する出品につきまして、当社では、関連する商品の出品状況を確認するとともに、必要に応じて出品者の方へのご連絡行うなど、対応を進めております。

加えて、9月7日に当社公式Xでもお知らせしている通り、くら寿司様と連携し、不正に入手された疑いのある出品商品の削除などの対応を実施しております。今後もくら寿司様と連携し、必要な対応を進めてまいります。

メルカリでは、出品時に出品者の手元にない商品や、盗品など不正な経路で入手された商品の出品を禁止しております。 今回の件に限らず、こうした出品が確認された場合やその疑いがある場合には、利用規約およびガイドラインに基づき、必要な確認・対応を行っております。

(中略)

不正な経路で入手した商品の出品への対策については、通報や関係企業からの申告等を踏まえ、不正に入手された疑いのある出品や、ガイドラインに違反する可能性のある出品について確認を行い、該当する場合には、商品の削除などの対応を実施しております。

(中略)

すべてのお客さまに安心・安全にご利用いただけるマーケットプレイスを運営していくため、関係企業・関係機関との連携を一層強化しつつ、必要な対応を進めてまいります」