多くの人が利用するふるさと納税だが、自治体にとって経費の負担が重いものとなっている現状がある。そうした中、兵庫県明石市がある人気の返礼品の送料をゼロにする仕組みを全国で初めて発表した。

【映像】ふるさと納税返礼品「パンパース」デジタルクーポン(拡大)

 ニュース番組『わたしとニュース』では、ふるさと納税の経費問題と、明石市が導入したデジタルクーポンの仕組みについて、コラムニストの月岡ツキ氏とともに考えた。

■自治体の重い負担となる「手数料」と「送料」

「ふるさと納税はまさに公金でありまして、運営事業者の方々にもこの点についてご理解をいただき対応していただきたい」(林芳正総務大臣)

 総務省によると、2025年度のふるさと納税における寄付額の97.2%にあたる1兆2947億円が仲介サイトを通じて行われている。そしてその11.5%にあたる1490億円が運営会社に対して実質的な手数料として支払われており、総務省は引き下げを求めている。

 ふるさと納税には、返礼品や送料、仲介サイトの手数料などの経費を寄付額の半分以下に抑えなければならない「5割ルール」がある。経費の中で仲介サイトへの手数料と並んで自治体の大きな負担になっているのが、返礼品の「送料」だ。ふるさと納税の返礼品は「地元で生産されたもの」というルールがあるため、送料はこれまで避けて通れないものと考えられていた。

 ふるさと納税の現状について、コラムニストの月岡ツキ氏は「私もやっているし、美味しいものが届いて嬉しい」としつつも、「その一方で自治体はすごく手間がかかってしまったり、ふるさと納税返礼品が人気な自治体とそうでないところで税収に大きい差が出たりする」と指摘。そのため月岡氏は「なるべく本当の自分のふるさとに寄付したり、被災地に寄付するようにしている」と自身の取り組みを明かした。

■全国初、明石市が導入した「デジタルクーポン」の仕組み

 このような経費負担の課題を解決するため、兵庫県明石市が導入を発表したのが「デジタルクーポン」による送料ゼロの仕組み「デジタルクーポンで家チカ引き換え」だ。明石市にはP&Gの工場があり、子ども用おむつ「パンパース」が返礼品として非常に人気を集めている。実際に2025年度の明石市への寄付額の56%がこのパンパース製品であった。

 おむつはかさばるため送料の負担が大きいだけでなく、寄付者からは「必要なサイズのおむつを必要な時に受け取りたい」という要望が寄せられていた。そこで導入されたのがデジタルクーポンだ。寄付を行うとスマートフォンの画面にデジタルクーポンが送付され、提携する身近なドラッグストアの店頭で提示することで、商品と交換することができる。

 明石市の丸谷聡子市長は「今回のデジタルクーポン券導入により、寄付者の皆さまには全国の対象ドラッグストアで、ご自身のタイミングに合わせて必要な商品をお選びいただけるようになります。私も子育てしてきた母として、いい仕組みだと思っております」と、その利便性を強調した。

■サイズアウト問題解消や運送業界の負担軽減にも一役?

 この明石市の新たな仕組みに、月岡氏は「頭がいい」と賛辞を送る。「赤ちゃんはサイズがどんどん変わってしまうので、ふるさと納税を申し込んだ時と届く時で全然サイズが違って使えないということをなくせる。さらに、運送業者も今すごくリソースが逼迫しているということで、送料ゼロは非常に良い取り組みだ」と評価した。

 さらに、「企業の工場を持っている自治体は多いと思うので、いろいろ転用できそうなやり方」と言及。仕組みさえ整えば、他の商品や、食料品をスーパーで交換できるという未来も考えられる。

 また、デジタルクーポンの特性を活かし、祖父母が離れて暮らす子どもや孫に対して「近くのお店で引き換えてね」とプレゼントすることも可能になる。

 ふるさと納税をめぐっては様々な議論があるが、月岡氏は「こうした仕組みでいろいろ解決して、ちゃんと便利に行き渡り、どこかにしわ寄せがいかないような形になるといいなと思う」と今後の期待を語った。

(『わたしとニュース』より)