結婚したくない、するつもりがない若者が増えている。こども家庭庁の調査によると、39歳以下の未婚者では35.1%、別の調査では「生涯結婚するつもりはない」人が42.4%に達した。その背景には、未来への希望を見出せない若者たちの現実がある。※画像:PIXTA

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こども家庭庁が今年、15歳から39歳までの若者およそ10万人を対象にしたインターネットによる大規模な意識調査を行い、7月時点での集計結果を公表した。

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結婚するつもりのない若者たち

それによると、未婚の若者の35.1%が「結婚するつもりはない」と回答、一方、「いずれは結婚したい」と答えた人は37.5%だった。

結婚のハードルは、「安定した結婚生活を送れる収入への不安」が40%と最も多く、次いで「自由な時間がなくなる・趣味時間の短縮」が34.4%、「結婚したいと思える人がいない」が32.6%となっている。

結婚するつもりはない派と結婚するつもり派は拮抗(きっこう)しているのだと思いきや、もう1つ発表された数字にさらに驚かされる。

日本商工会議所と大韓商工会議所が共同で行った「日韓若者意識調査2026(対象20~39歳の男女計4000人)」では、「生涯結婚するつもりはない」と答えた割合が、日本は42.4%なのである。韓国は18.6%で、大きな差がある。

特に35~39歳では、日本は結婚するつもりがない派が51.2%と過半数を超える。それどころか、「恋人がいる」割合も韓国が32.2%に対して日本は21.4%。結婚や恋愛意識だけではなく「自分たちの世代が未来を明るくできる」という意識も、韓国34.7%に対して日本は19.8%にとどまっている。

未来に明るい希望がもてないから、恋人とも楽しめない、結婚もするつもりがないと考えるのは穿(うが)ち過ぎだろうか。

自分一人だってろくに食べていけない

「20代後半で体を壊して退職して以来、正社員の職につけないままです。非正規で仕事をしていていいことなど何もありません。どうにか正社員になりたいとあちこち受けましたが、仕事をしながらの就職活動もきつかったし、結果、どこも受からなかった。

もう非正規のまま生きていくしかないと諦めつつあります。自分の身1つ養えないのに、結婚して家庭をもてるはずがない」

悔しそうな表情でそう言うのはタカシさん(38歳)だ。どうしてこうなってしまったのか分からないと嘆く。狭いアパートで暮らしながら、彼はせっせと貯金もしている。リスクがともなう投資は怖くてできない。

「あのまま正社員として働けていれば、今ごろは子どもの一人もいたかもしれません。社内の人間関係でつまずいて、そこから体調を崩して内臓をやられて……。友人に言わせれば、僕が社会を勝ち抜けない人間だったということになるんでしょうけど、勝ち抜ける人間って冷淡で鉄面皮か、もしくは要領のいい人間か。そんなふうにしか思えません」

彼が体調を崩して会社を辞めると、付き合っていた彼女も去って行った。人間ってそういうものかと思いつつも絶望もしたという。

「今は狭いアパートで、図書館から借りてきた参考書を使い、宅建の資格をとろうと頑張ってはいます。もし資格がとれたところで生かせるかどうか分かりませんが、それでも何も努力しないよりは希望がもてるかもしれない。希望をもつためという目標をたてるのって、なんだか虚しい気もしますけどね」

タカシさんは少し皮肉な笑みを浮かべた。

結婚に興味がもてない

「結婚して幸せそうな時期って短いですよね」

そう言うのはアカリさん(39歳)だ。もうじき40歳を迎える。周りの友人たちの中には離婚組が少しずつ増えているという。

「新婚のときはみんな楽しそうだけど、そのうち夫の愚痴ばかり言うようになる。愚痴を言いながらも幸せそうな人と、愚痴を通り越して夫にはあきれるだけと話題にしなくなる人もいる。そもそも姉がそうでした。大恋愛と自ら言って結婚したけど、『今日はうちの人が早く帰ってくるの』とうれしそうにしていたのは半年くらいでしたね。

共働きなのに家事をしてくれない、子どもができれば面倒を見てくれないと文句ばかり。育休のときなんて、子どもを実家に預けてけっこう遊び回っていたのに、それでも夫への文句は消えなかった。

まあ、義兄も口ばかりで、姉に何か頼まれると分かったと言いながら何もしないというのを見たことがあるので、どっちもどっちだと思っていましたが、結局は、結婚5年で離婚しました。子連れで実家に戻った今の方が楽しそうです」

子どもや孫がいれば幸せなわけではない

離婚してもいいから結婚したいという友人もいるそうだが、アカリさんは「そんな面倒なことはしたくない」と言う。

アカリさんは仕事が好きだし、結婚によって仕事を思い切りできなくなるのが不安だという。子どものころ習っていたピアノの練習も再開、社内の有志で「裁縫部」を立ち上げ、自分の洋服なども作るようになった。

「フラメンコも習いたいんですよ。仕事と趣味に生きるのも悪くないと思ってる。老後はどうするんだ、寂しいぞと父親に言われたけど、子どもや孫がいれば幸せというわけでもないでしょう。かえって苦労させられるかもしれない。実家の母なんて孫の世話で疲弊していますしね」

人として生まれたからには、家庭をもって子どもを育てるのが当然という価値観はすでにない。結婚は「しない」という選択肢もあり、その方が楽だと気付いてしまった人たちも多いのかもしれない。

だが、自らの意志ではなく、希望がもてない社会だから家庭をもてない人がいるのもまた、事実だろう。

<参考>
・「若年世代に関する総合的な調査(若者10万人の総合調査)(令和8年度)」(こども家庭庁)
・「日韓若者意識調査2026」(未来を選択する会議)
(文:亀山 早苗(フリーライター))