88歳になった海洋冒険家の堀江謙一さん「マグマが噴き出してきた」…太平洋単独無寄港横断に挑戦へ
海洋冒険家の堀江謙一さん(88)が8日、兵庫県西宮市で記者会見を開き、来春にヨットによる単独無寄港での太平洋横断(米サンフランシスコ-日本)に挑戦することを明らかにした。
自身が2022年に達成した世界最高齢記録の更新を目指す。(阪神支局 岡大賀)
8日は堀江さんの88歳の誕生日。記者会見では「88歳で再度、『太平洋ひとりぼっち』で航海したいというチャレンジャーとしてのマグマが噴き出してきた。応援をお願いしたい」と新たな挑戦を宣言した。
堀江さんは1962年、23歳の時に小型ヨットで西宮港からサンフランシスコへ渡り、ヨットによる単独無寄港の太平洋横断を世界で初めて達成した。航海記として同年に出版した「太平洋ひとりぼっち」はベストセラーとなり、菊池寛賞を受賞。翌年には、石原裕次郎主演で映画化された。その後もヨットで東西両回りでの世界一周を成し遂げるなど、これまでの遠洋航海は12回に及ぶ。
83歳だった2022年の航海は、米サンフランシスコを3月27日に出航。69日間かけて太平洋を渡り、6月4日に和歌山県沖の紀伊水道にゴールした。ヨットによる最高齢での単独航海太平洋横断として、ギネスの世界記録に認定された。
今回の公開も来年3月にサンフランシスコを出航し、早ければ5月末にも日本に到着する予定だ。
4年を経てもう一度挑戦を決心した理由について、堀江さんは「挑戦することで自分自身が活性化する。生きているという実感が得られる」と語り、「ヨットは筋力は必要ではない。人間としての健康だけ」と笑顔を見せた。この4年間で体力的な衰えを感じることはあるものの、大病などはないという。
ヨットは、「サントリーマーメイド4号」(全長9・2メートル)を新たに建造する。22年の「3号」から全長を約1・5倍にし、安定感を向上させる。デッキやコックピットも広げ、船上での生活や作業もよりしやすくする。
「3号」に続いて設計を担ったヨットデザイナーの横山一郎さん(80)は「風や波で翻弄(ほんろう)されても変な癖が出にくく操船しやすい形を追い求めてきた。堀江さんのチャレンジを前回同様にサポートすることを楽しみにしている」とのコメントを出した。
88歳の決心に、知人もエールを送った。50年来の付き合いという京都府宇治市の堀江治夫さん(82)は読売新聞の取材に「太平洋は10キロも沖に出れば激しく波がうねり、立つこともできない。並の精神力では達成できないことだ。彼は常々『私はまだ青年だ』と言っている。88歳での挑戦を成功させ、それを証明してほしい」と語った。
