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オウム真理教による坂本堤弁護士一家殺害事件で、坂本弁護士が所属していた法律事務所の同僚として救出活動にあたった小島周一弁護士が、活動の記録をまとめた著書を出版する。

小島弁護士は9月4日、司法記者クラブで会見し、「事件の風化防止と同時に、坂本弁護士の美化防止という思いを持ちながら書いた」と執筆の動機を語った。

●「英雄視」への違和感

小島弁護士は、1987年4月に横浜法律事務所へ入所した坂本弁護士の先輩にあたる。

坂本弁護士は1989年11月、妻の都子さん、長男の龍彦ちゃんとともに殺害され、遺体は1995年9月に新潟、富山、長野の3県で発見された。小島弁護士は事件発覚後、「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会」(救う会)の事務局次長として約6年の救出活動を担い、遺体発見の捜索にも立ち会った。

救う会には全国3000人超の弁護士が参加し、捜査の強化を求める署名は約175万人分、捜査体制の充実を求める請願・陳情は800以上の地方議会で採択された。事件と救出運動のリアルを知ってほしいという思いが、本を執筆した一番の動機だったという。

小島弁護士が事件の風化防止だけでなく、美化防止を掲げるのは、坂本弁護士の像が実像より大きく伝わっていることへの危惧からだ。

「サリン事件の衝撃があまりに強いから、教団に単身命がけで立ち向かった坂本弁護士、というイメージが先行している」と話し、一緒に仕事をし、酒を飲んだ同僚として、「等身大の坂本」を伝えたかったと語った。

また、英雄視は、弁護士に対する業務妨害の問題を遠ざけてしまうとも指摘。業務妨害の多くは逆恨みや八つ当たりから起き、普通に離婚事件を受任しただけでも被害は生じる。

しかし坂本弁護士の事件は「オウムは別物、というイメージから入ってしまう嫌いが弁護士の中にもある」(小島弁護士)とし、業務妨害は特殊な活動や特別な事件以外でも起こりうるという意識が重要だという。

●日弁連が引き継ぐ慰霊の旅

日弁連は2025年12月5日の臨時総会で「坂本堤弁護士一家遺体発見から30年の節目に、弁護士業務妨害を許さず、その対策に積極的に取り組む宣言」を採択。同事件を「弁護士業務妨害対策の原点」と位置づけた。

救う会が1998年から毎年9月に続けてきた「慰霊の旅」も、2025年に地権者や自治体と合意書を交わし、新潟・富山・長野の3カ所のメモリアルを日弁連が主体的に管理することになった。2026年は9月12、13日に実施し、松田純一会長ら弁護士約30人が参加する予定となっている。

小島弁護士の著書『生きて帰れ! 坂本弁護士一家事件 〝再会〟までの2134日』は、9月14日に発売される。