治安戦略アナリストで元警視庁刑事の小比類巻文隆氏が自身のYouTubeチャンネルで「【福生・ハンマーニキ】「暴走族から町を守った」と英雄視された無職男が警官の股間を蹴り追起訴。元警視庁刑事が解説」を公開した。動画では、今年4月に東京都福生市で発生し、ネット上で「ハンマーニキ」として英雄視された事件の危険性と、その背景にある社会構造上の課題について持論を展開している。

今年4月、福生市で10代の少年らにハンマーで暴行を加え、駆けつけた警察官に刃物を示して逃走した高林輝雪被告。逮捕後、ネット上では「暴走族から町を守ったダークヒーロー」と称賛され、減刑を求めるオンライン署名が2万人以上集まる事態となった。小比類巻氏はこの反響について、深夜から早朝にかけてのバイク騒音に悩まされながらも、警察が法的な制約から即座に逮捕などの強硬措置をとれなかったことで蓄積された「地域住民の不満」が背景にあると説明する。

しかし、小比類巻氏は高林被告を正義の味方と見なす風潮に強く警鐘を鳴らす。高林被告は過去にも別の少年らを斧のようなもので襲い逮捕された経歴があり、今回の逃走時にも偽造ナンバーを使用し窃盗事件を起こしたうえ、病院で警察官の股間を蹴り追起訴されている。小比類巻氏は、同被告を「元々粗暴性や攻撃性の強い人物」だとし、「その暴力の矛先が今回はたまたま地域で迷惑がられていた若者たちに向いた結果、それがネット上で正義の行為に見えるようになっただけ」と実態を解説した。

さらに小比類巻氏は、迷惑行為をする相手なら私的な暴力も許されるという考え方が広まれば、「私刑が支配する社会になってしまう」と危惧。「あいつは悪い奴だから殴っていい、警察がやらないなら自分たちでやる」という思考の危険性を説きつつ、警察側に対しても「迷惑を受けている住民をもっと守ってくれ」と要望を語り、法治国家の在り方に対する重い問いかけで動画を締めくくった。

チャンネル情報

元警視庁刑事・国際捜査官。1993~2023年警視庁。爆弾処理班配属後、警視庁中国語通訳を経て国際捜査官に。以降、国内外の銃器・薬物犯罪の情報収集、秘匿捜査に従事する。ほか殺人、強盗、誘拐事件などあらゆる捜査に参加。退官後、30年に及ぶ警察人生の知見を世の中へ貢献すべく治安戦略アナリストとして活動中。