「高血糖・低血糖」になると「足」にどんな症状が現れるかご存知ですか?医師が解説!
高血糖・低血糖になると足にどんな症状が現れる?メディカルドック監修医が高血糖・低血糖になると発症しやすい病気などを解説します。
監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
血糖値とは?

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度です。食事から摂った炭水化物などは消化・吸収されてブドウ糖となり、血液を通して全身へ運ばれ、脳や筋肉のエネルギー源になります。通常は膵臓から分泌されるインスリンの働きで一定の範囲に保たれます。インスリンの分泌低下や効きにくさで高血糖となり、薬の効きすぎや食事不足などでは低血糖になることがあります。
血糖値の基準値とは?

血糖値の評価には、主に空腹時血糖値とHbA1cを用います。空腹時血糖値は110mg/dL未満が正常域ですが、100~109mg/dLは正常高値とされます。110~125mg/dLは空腹時血糖異常、126mg/dL以上は糖尿病型です。HbA1cが6.0~6.4%の場合、糖尿病の可能性を詳しく調べるため75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)が推奨され、6.5%以上は糖尿病型に該当します。
これらの診断基準は男女共通で、成人では年齢によって変わりません。一方、高齢の方では、糖尿病と診断された後の治療目標を、年齢や認知機能、身体機能、低血糖のリスクなどに応じて個別に設定します。
血糖値が高いと現れる症状

高血糖が続いても、初期には症状がはっきりしないことがあります。普段と違う変化が重なったときは、血糖値との関係も考えます。
異常なのどの渇き
血糖値が著しく高くなると、尿へ糖を排出する際に水分も失われ、尿量が増えます。脱水が進むため、強いのどの渇きを感じます。
全身の強いだるさ
インスリンが十分に働かないと、ブドウ糖を細胞内へ取り込みにくくなります。エネルギーとして利用しにくくなり、強いだるさや疲れやすさが現れます。
体重減少
ブドウ糖を十分に利用できないと、脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補います。その結果、食事量が変わらなくても体重が減ることがあります。
血糖値が低いと現れる症状

低血糖では、血糖値を戻そうとする身体の反応や脳のエネルギー不足によって症状が現れます。急に進むこともあります。
動悸や冷や汗
低血糖になると、交感神経が働き、アドレナリンなどが分泌されます。そのため、動悸や冷や汗などが現れます。
強い空腹感と脱力感
ブドウ糖が不足すると、強い空腹感に加えて、手足に力が入らない、ふらつくなどの脱力感が生じます。意識がはっきりしていれば、速やかに糖分を補給します。
意識障害やけいれん
血糖値がさらに大きく下がると、頭がぼんやりする、ろれつが回らないなどが現れ、進行するとけいれんや意識消失に至ることがあります。
血糖値が高いと足にどんな症状が現れる?

高血糖が長く続くと、神経や血管への影響が足に現れることがあります。日頃から足の感覚や皮膚の変化を確認しておきましょう。
足のジンジンとしたしびれ
末梢神経が障害されると、足の裏やつま先にジンジン、ビリビリとしたしびれが現れます。両足に左右対称に生じることがあります。
感覚の鈍さと足の冷え
神経障害が進むと、痛みや温度を感じにくくなり、靴擦れややけどに気づきにくくなります。血流が悪化すると、足先の冷えや皮膚の色の変化もみられます。
小さな傷が治りにくい
血流障害や感覚低下があると傷を見逃しやすく、高血糖では感染への抵抗力も低下します。そのため、小さな傷が治りにくく、潰瘍へ進むことがあります。
血糖値が低いと足にどんな症状が現れる?

低血糖は足だけに起こるわけではありませんが、全身の震えや脱力、発汗の一部として足にも変化が現れることがあります。
足がガクガクと震える
低血糖で交感神経が刺激されると、アドレナリンなどの影響で身体が震えます。足にも震えが出て、立っていると足がガクガクすることがあります。
足に力が入らなくなる
低血糖になると全身に脱力感が生じ、足に力が入りにくくなることがあります。立ち上がりにくい、膝が抜けるように感じる場合もあります。
歩行が不安定になる
低血糖が進むと脳の働きにも影響し、ふらつきや歩行の不安定さが現れることがあります。まっすぐ歩きにくい場合は、転倒を防ぐため無理に歩かないようにしましょう。
血糖値が高いと発症しやすい病気

高血糖が続くと、細い血管や神経が障害され、全身に合併症が生じます。症状が出る前から進むものもあります。
糖尿病性神経障害
高血糖による代謝異常や血流障害で末梢神経が傷つき、足のしびれや痛み、感覚低下が現れる病気です。治療では血糖値を適切に管理して進行を抑え、痛みが強い場合は症状に応じて薬を使用します。感覚が低下している場合は、足の傷や潰瘍にも気を付けましょう。
糖尿病網膜症
高血糖によって網膜の細い血管が傷つき、出血などが起こる病気です。進行すると視力低下や飛蚊症が現れ、失明につながることもあります。血糖値や血圧を管理し、定期的に眼科を受診します。進行した場合は、レーザー治療や手術などを行います。
糖尿病性腎症
高血糖によって腎臓の細い血管が障害され、腎機能が徐々に低下する病気です。進行するとむくみや高血圧が現れ、透析が必要になることがあります。治療では血糖値や血圧を管理し、状態に応じて腎症の進行を抑える薬を使用します。
血糖値が低いと発症しやすい病気

重症の低血糖が長引いたり繰り返されたりすると、脳や心臓に影響し、別の問題につながることがあります。
重篤な脳への後遺症
極端な低血糖が長く続くと脳が障害され、記憶障害や麻痺などの後遺症が残ることがあります。意識がある場合は速やかにブドウ糖を補給し、意識障害がある場合は無理に飲食させず、救急搬送してブドウ糖の静脈投与などを行います。
無自覚性低血糖
低血糖を繰り返すと警告症状が現れにくくなり、突然の意識障害につながることがあります。低血糖を繰り返さないよう、原因となる薬の量や食事とのバランス、血糖管理の目標を見直します。
心血管疾患
低血糖は心臓や血管に負担をかけ、心血管疾患と関連することがあります。糖尿病治療中は血糖値を下げすぎないよう、薬や食事とのバランスを調整し、重症低血糖を防ぎます。
認知症
重症低血糖を経験した糖尿病患者さんでは、認知症の発症リスクが高くなることがあります。低血糖を繰り返さないよう、年齢や認知機能、生活状況に応じて血糖管理の目標や薬を調整します。
「血糖値と足」についてよくある質問

ここまで血糖値と足について紹介しました。ここでは「血糖値と足」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血糖値が上がっているサインとなる症状について教えてください。
林 良典(医師)
血糖値が上がっているサインには、強いのどの渇きや尿量・回数の増加、食べているのに体重が減る、だるさなどがあります。足のしびれや目のかすみから異常に気づくこともあります。ただし、糖尿病は自覚症状がないまま進行することがあるため、健康診断で血糖値やHbA1c、尿糖の異常を指摘された場合は、内科や糖尿病内科を受診して検査を受けてください。
まとめ血糖値の異常は足の変化も含めて早めに気づくことが大切
血糖値の異常は、高すぎても低すぎても身体に影響します。高血糖が続くと、のどの渇きやだるさ、体重減少のほか、神経や血管の障害によって足のしびれ、感覚低下、治りにくい傷などが現れることがあります。低血糖では、動悸や冷や汗、震え、脱力感がみられ、重症になると意識障害やけいれんにつながります。症状がないまま高血糖が続く場合もあるため、自覚症状の有無だけでは判断できません。
足のしびれや感覚の鈍さ、傷の治りにくさがある場合や、健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合は、病院で相談してください。糖尿病の治療中は低血糖にも気を付けながら、日頃から足の状態にも目を向け、血糖値を適切に管理することが合併症の予防につながります。
「血糖値」と関連する病気
「血糖値」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内分泌系
1型糖尿病2型糖尿病妊娠糖尿病
神経系
糖尿病性神経障害
眼科系
糖尿病網膜症腎臓系
糖尿病性腎症これらは血糖値の異常と関わり、症状がはっきりしないまま進行する場合もあります。自覚症状だけで判断せず、定期的な受診と血糖管理を続け、必要な検査を受けることが大切です。
「血糖値」と関連する症状
「血糖値」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
のどが異常に渇く
尿の回数や量が多い
食べているのに体重が減る
足の裏がしびれる
冷や汗が出る
手足が震える
これらの症状が重なる場合や急に現れた場合は、症状だけで判断せず、病院で血糖値を確認してください。健康診断で異常を指摘されている場合も、早めに受診しましょう。
参考文献
糖尿病予備群といわれたら|国立健康危機管理研究機構糖尿病情報センター
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について|日本糖尿病学会
糖尿病とは|国立健康危機管理研究機構糖尿病情報センター

