女性のがん死亡数“第1位”は『大腸がん』… 見逃したくないサイン・初期症状とは?

女性にも増えているとされる大腸がん。初期にははっきりした症状が出にくい一方で、便通の変化や腹部の違和感など、見逃したくないサインが表れることもあります。早期発見につながる初期症状や、受診の目安について岡田医院副院長の岡田先生に聞きました。

※2026年7月取材。

監修医師:
岡田 昌浩(岡田医院)

栃木県下都賀郡国分寺町(現・下野市)出身。東京医科大学医学部を卒業後、自治医科大学附属病院で医師としてのキャリアをスタート。自治医科大学消化器内科で研鑽(けんさん)を重ね、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医を取得。大学病院では講師や病棟医長も歴任し、2025年5月より岡田医院での診療を開始した。日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会認定 消化器病専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医・指導医。

大腸がんは女性に増加しているって本当?

編集部

大腸がんは女性に増加しているというのは本当でしょうか?

岡田先生

はい、本当です。厚生労働省の調べによると、女性を対象にした「主な部位別がん死亡数(2024年)」では大腸がんが第1位です。女性だけでなく、男性でも大腸がんで亡くなる人は増えていますが、特に女性は死亡率、罹患(りかん)率とも増加傾向にあります。

編集部

なぜ、女性は大腸がんの発見が遅れやすいのでしょうか?

岡田先生

大腸がんは、早期には自覚症状が乏しく、気付きにくいことがまず挙げられます。さらに、発症数は50代ごろから顕著に増えますが、その年齢の女性は仕事や家事、介護で忙しく、なかなか検診に足が向きません。加えて、進行すると便秘や出血などの症状が出るものの、女性は「便秘体質だから」「痔(じ)かもしれない」と自己判断しやすく、発見が遅れがちです。

編集部

女性に大腸がんが増えている理由として考えられることはありますか?

岡田先生

背景としては、女性ホルモンの変化が関わっている可能性も指摘されています。特に閉経後は女性ホルモンが減り、その影響でインスリンの働きが変わり、内臓脂肪が増加して、糖尿病を発症したり、肥満が進んだりします。こうした変化は生活習慣病だけでなく、大腸がんの発症リスクに関係するとみられています。
ただし、ホルモンだけが原因というわけではありません。現在は、大腸がんの発症に食生活や運動不足、遺伝的な体質など、さまざまな要因が重なって関わっていると考えられています。

編集部

やはり、定期的に検診を受けることは大切ですね。

岡田先生

はい。厚生労働省の指針では、大腸がん検診は40歳以上を対象に年1回、便潜血検査(便に含まれるわずかな血液の有無を調べる検査)を受けることとされています。大腸がんは検診で早期に見つけて治療することで、死亡率を大きく下げることができるがんです。症状がなくても検査を受け、早期発見に努めることが大切です。

早期発見につながるサインや初期症状とは?

編集部

大腸がんの初期症状には、どのようなものがあるのでしょうか?

岡田先生

実は、早期の大腸がんは無症状のことが少なくありません。だからこそ、症状が出る前の検診が重要になります。一方、進行してくると、便の異常やおなかの症状などが表れることがあります。

編集部

血便は重要なサインなのでしょうか?

岡田先生

はい。大腸がんでよく見られる症状の一つが、便に血が混じる、便の表面に血が付くといった血便です。ただし、痔などの良性疾患でも同じような症状が起こるため、「血が出た=痔だろう」と決めつけないことが大切です。血便に気付いたら、早めに消化器内科や胃腸内科、肛門外科を受診してください。

編集部

血便以外に、大腸がんが見つかるきっかけになる症状はありますか?

岡田先生

便が細くなる(狭小化)、便秘、おなかの張り(腹部膨満感)といった通過障害が典型的な症状です。また、血便はなくても貧血症状などで大腸がんが見つかることもあります。

編集部

そのほか、排便の変化があった場合、どんなことに注意すればよいのでしょうか?

岡田先生

便の性状や回数など、排便の様子がいつもと違うと少しでも感じたら、我慢せずに消化器内科を受診し、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けてください。特に、一度も大腸内視鏡検査を受けたことがない50歳以上の人は、必須といってもいいでしょう。ぜひ検査を受けてほしいですね。

受診の目安は? 受診の際の注意点は?

編集部

どんなときに受診すべきでしょうか?

岡田先生

血便、腹痛、便の性状や排便回数の変化がある場合はもちろん受診してください。加えて、症状はないが便潜血検査が陽性だった人、大腸がんの家族歴がある人、ポリープを切除してからしばらく検査をしていない人も対象です。少しでも気になることがあれば、医療機関で日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医に相談してください。

編集部

受診するなら、何科に行けばよいか教えてください。

岡田先生

まずは消化器内科、胃腸内科、肛門外科などを受診するとよいでしょう。がんのリスクを適切に評価し、診断から治療、そしてその後のフォローアップまでアドバイスをくれると思います。

編集部

便潜血検査が陰性なら、受診しなくても大丈夫なのでしょうか?

岡田先生

便潜血検査は無症状の人に対する大腸がんスクリーニング(ふるい分けの検査)としては有効ですが、症状の原因を確定する検査ではありません。また、大腸がんは小さなポリープから始まり、段階的に大きくなり、がん化していきますが、残念ながら、切除可能な小さなポリープの多くは、便潜血検査が陰性です。したがって、便潜血検査だけでは、大腸がんの早期発見・予防には十分とはいえません。

編集部

受診の際に、医師へ伝えたほうがよいことはありますか?

岡田先生

症状がいつからあるか、血の色や付き方、便秘・下痢の変化、体重減少、貧血の指摘歴は、なるべく具体的に伝えましょう。加えて、潰瘍性大腸炎(大腸の粘膜に炎症や深い傷ができる病気)や大腸がんなどの家族歴は、大腸がんリスクを考える上で重要です。受診時は、健診結果や便潜血検査の結果があれば一緒に持参すると役立ちます。また、ポリープ切除の既往のある人は、いつ切除したか、結果はどうだったかなど、具体的な情報があるとなおよいです。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

岡田先生

大腸がんは男女とも増加傾向にあり、その予防が非常に重要な課題です。一方で、内視鏡検査を行い、ポリープを定期的に切除すれば発症リスクを大きく下げられることが分かっています。大腸がんを過度に恐れるのではなく、現在の自分の状態を知り、大腸がんを積極的に予防するためにも、早い段階で一度は大腸内視鏡検査を検討してほしいと思います。

編集部まとめ

症状が出る前のポリープの段階で見つけることが、大腸がんを防ぐ最大の予防法です。便潜血検査で異常がなくても、ポリープが隠れている場合があります。不安のある人は、一度大腸内視鏡検査を受け、自分の腸の状態を確認しておきましょう。

医院情報

岡田医院

■ 診療科目
・栃木県下野市小金井2976:内科、循環器内科、消化器内科
■ 診療時間
・栃木県下野市小金井2976:午前:月火木金土9:00~12:00
午後:月火木金16:00~17:30
内視鏡検査:火金14:00~16:00、土9:30~11:30
※内視鏡検査をご希望の方は、火曜・金曜・土曜に消化器外来へ一度お越しください。
■ 休診日
・栃木県下野市小金井2976:水・日・祝日・土(午後)

0285-44-0021

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